今回はカメラ撮影のレンズにおける「焦点距離」をテーマとして取り上げます。
と言っても、焦点距離というのは「他のものと比較するための言葉」であって、焦点距離という要素を掘り下げる必要はないと考えています。なにしろ焦点距離というのは、あくまで撮像センサー(CCDなど)やフィルムとレンズの焦点(光が集まって結像している部分)の距離を指すものであって、外見からは見えない、意識しにくい要素です。
それでも焦点距離をレンズの種類を表すメインの要素としているのは、撮像センサーの大きさとの関係が厳密で、他の要素と絡むことで変化するものではないからなのでしょう。

と、たぶん置いてけぼり進行になってしまっていると思いますので、焦点距離は「レンズの種類を見分けるためだけの数値」と思っておいてください。たぶんほとんどの人がそうだと思います。

焦点距離によって決まってくる要素で、実際に撮影する上で意識されるのは「被写体との距離感」と「画角」です。
「距離感」というのはいわゆるズームのことだと思ってください。遠くにいてもズームアップすれば、近くに寄ったように大きく撮れるというアレです。焦点距離においては、数字が大きくなるほどズームアップとなります。
「画角」というのは写せる範囲です。これは説明するより、写真を見てもらった方がいいでしょう。
以下、焦点距離が短い(数字が小さい)ものから、長いものへと変化させた写真を並べていきます。

14mm_yurie
14mm(画角90°)

35mm_yurie
35mm(画角44°)

100mm_yurie
100mm(画角16°)

被写体として使用したのは、アルター(販売元はハピネット)の「一橋 ゆりえ 制服Ver.」です。手持ちのフィギュアの中では、効果を最も感じ取りやすい造形でしたので採用しました。ちなみにこちらは【19cmの高さの造形物】というのもポイントになります。被写体の大きさで、この傾向は変化してきますので。
さらに、センサーの大きさでも変化しますが、さらにややこしくなるのでとりあえずここでは一旦不問としておきます。

焦点距離は一般に「大きくすれば被写体に近づける」という使い方がされ、それを意識して使われる方が多いと思いますが、被写体を同じ大きさになるよう写した場合には、このような変化が出てきます。
写真を見ただけでは被写体が同じ大きさなので、同じ位置から撮っているような印象を受けるかもしれませんが、実際には一番上の14mmのものは「レンズがくっつきそうなほどの近さ = 10cm程度」で、一番下の100mmのものは「3m程度」離れています。
ここで注目して欲しいのは「フィギュアの視線」と「台座の見え方」です。

焦点距離が大きく(長く)なるほど、視線が下を向き、台座がフラットに見えると思います。
つまり画の中心を正面として、そこから上下左右に向けて放射状に写って見える傾向が、焦点距離が短くなるほど顕著となるのです。

そして、まるきり関係ないですが背景に使っているCLANNADのポスターの、見える範囲が違ってきていることも分かるかと思います。
つまり、レンズが広角になればなるほど、背景も大きなものにしないといけません。被写体と背景の距離をおけば、その傾向はさらに顕著となります。

以下に、簡単ではありますが相関図を提示します。

レンズ短短レンズ長短

左が広角(14mmなど)レンズ、右が望遠(100mmなど)レンズだと思ってください。緑色の線がレンズが捉えられる角度、いわゆる画角となります。
被写体を同じ大きさに撮るには、同じ画角に収めることになります。となるとこのように、広角のレンズの場合にはより手前に被写体を持ってくることになります。その上で、背景は広く入ります。
望遠だと被写体が同じ位置で見切れてしまいますので、レンズからは離れることになります。そして背景の写り込む範囲は狭まります。

この関係を頭に入れておけば、使用しているレンズでどの程度被写体と距離を取るべきか、ひいては野外撮影で背景を大きく取り込みたい時とピンポイントに取り込みたいときに、その位置関係をどう配置しようか把握しやすくなるでしょう。


さて、広角レンズと望遠レンズではもうひとつ特徴的な差が発生します。
まずは写真をご覧下さい。
14mm_fathina
14mm

35mm_fathina
35mm

100mm_fathina
100mm

ここではアルターのファティナを採用。手前へ長物を構えているのがポイントです。
それぞれ、手前に構えた武器の大きさと位置が同じくらいになるようにしています。
と、これで傾向が見えてきていると思いますが。
武器が長く見え、ファティナの体が小さく見えますね。
いわゆるこれは【遠近感(パースペクティブ)】が違う、ということになります。
広角のレンズでは遠近感が強く出て、望遠のレンズでは遠近感が希薄になります。
評価用のサンプル写真としては、均一に同じ大きさに見えやすい遠近感の小さな望遠レンズを使うのが常ですが、写真としての面白さは少なく感じます。逆に、広角レンズですと目で見るのとは明らかに違う妙な写り方をして、迫力も増すため、面白い画になります。
これが良いか悪いかは各々の判断となるのですが、ワタクシは好きなのでよく使用しています。せっかく写真に撮るのですから、目で見るのとは違ったものにしたいと思いまして。
なかなか印象が変わってくるところではありますので、気になったら是非広角での撮影にトライしてみてください。
ただ、被写体に相当に近づいての撮影となるため、ピントが合う最短距離が短い(20cm以下)レンズでないと、迫力が出る以前に被写体が小さくなってしまうだけ、となってしまうかもしれませんので注意です。1/4スケールくらいになってくれば話は変わってきますが、1/8スケール程度では、広角ズームレンズの大半が「寄れない」で終わってしまうでしょう。
なかなかハードルの高いところではあります。でも、その上でトライしてみる価値はあると思いますよ。


さて、さきほどはややこしくなるということで濁してしまったセンサーのサイズごとの差ですが、ここで軽く触れておこうと思います。
簡単にいえば、同じ焦点距離のレンズでも、センサーのサイズが大きくなればより広角になります。
一般的な一眼レフカメラで、フルサイズ(35mm)と呼ばれるセンサーと比較して、デジタルで一般的なAPS-Cは約4分の3ほど、フォーサーズと呼ばれるセンサーは2分の1ほどのサイズとなります。ですので、100mmとされているレンズを装着した場合、APS-Cでは150mm、フォーサーズでは200mmのレンズを装着したに等しい写り方になります。このため、APS-C機やフォーサーズ機ではよく「35mm換算で〇〇mm」と呼ばれています。
コンパクトデジカメではさらにセンサーが小さく、携帯電話に付いているカメラではより一層小さくなります。ただし、コンパクトデジカメでは最初からレンズが付いていて交換できないので、はじめから35mmセンサーで置き換えた場合の焦点距離で記載されています。携帯電話のカメラでは、用途から必要なしと判断してか、表記がされていない場合がほとんどです。
この部分はややこしい話となってしまうので、自分が使うカメラと、焦点距離が記載されたレンズを意識的に比較し、体感として覚えていくのがいいでしょう。情報として詰め込んでも、頭の中がゴチャゴチャになってにっちもさっちも、になること請け合いなので。


最後に。焦点距離と画角を意識してフィギュアを撮影する実用的な使い方をする上で、この講座よりもよっぽど役立であろうブログ記事をご紹介します。

役に立たない機材レビュー レンズ編 《dwarf x figure.fotoさん》 <役に立たないなんてとんでもない、素晴らしい作例付でのレビュー

こんな感じで撮ってます 【撮影機材編】 《AZURE Toy-Boxさん》

先程、これらの要素は野外撮影でこそ効果が出やすい、と書きましたが、まさにこちらでは野外撮影における使い分けが紹介されています。
みなさんも是非、使うレンズの焦点距離と画角を把握し、使いこなして、太陽の下で素敵な野外撮影ライフをエンジョイしましょう!


以上、レンズの焦点距離および画角の特集でした。