余計なお世話と承知で、任天堂にとって初のスマホアプリがリリースされたこの歴史的な足跡を祝う流れに乗っかる形で、レビューをしたためてみようと思った次第です。

Miitomo (←公式ページ)

どのようなものか説明するとなれば、インターネットでつながった他人とのコミュニケーションを行うアプリで、広義のジャンルとしてはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に該当するのではないでしょうか。

狭義に押し込んでいくと、Ver.1.0.0のリリースから4日経ったこの記事を書いている時点(2016年3月21日現在)では(←最重要)、SNSと聞いて思い浮かぶ一般的なイメージとは異なるようです。
ゲームとして 捉えると理解しやすいかと思いますが、NPC(ノンプレイヤーキャラクター=RPGの町の住人のように規定のセリフをしゃべり続ける存在)はいないのですが、プレイヤーの分身である「Mii」はNPCのごとく振る舞います。
いつでも変更可能な姿形と服装や、割り振ったステータスを除いては、独自性を求めることが出来ない様子です。

プレイヤー(利用者)が行えるのは、運営(任天堂)が設定済のの質問に答え(アンサー)ていくだけです。 
フレンド(登録した相手で実在の人物)の部屋に遊びに行くことは出来ますが、どうぶつの森などでイメージされる家具の配置や変更などの要素はリリース直後の時点ではありませんし、相手も規定の質問を投げ掛けてくるだけで設問を作ったり、どれを質問したいか選択しておく事が出来るなんてのもないので、 受動的に規定の質問に対する回答が積み重なっていくのを眺めていくしかありません。

かつてネット上には「ザ・インタビューズ」という、このアプリの基本要素同様の質問に答えていくSNSがありましたが、それをイメージすると近いかもしれません。しかし、そのSNSでは能動的に特定の相手に特定の質問を作成して投げ掛けられたので、自由度はそちらの方が高く、コミュニケーションツールとしてはもちろん、ゲーム性も上回っていると言っても良いのかもしれません。
しかもそのSNSは、出始めこそ大いにユーザーを呼び込み活況が感じられましたが、ほどなく急速に冷めていき、やがて自然消滅に近い雰囲気を纏いながらサービスを終了してしまいました。
その後追いとなるとするならば、任天堂がいくらネームバリューで上回ってユーザーの獲得数が大きく伸びたとしても、おそらく失敗に終わったであるうサービスに及ばない内容で勝ち残れるとは想像しにくいものです。

となればあの、家庭用ゲーム専用機(コンシューマーゲーム)界の覇者と言える実績を重ねてきた任天堂の仕掛けて来たアプリなのだから、次なる一手どころか二手三手と用意しているに違いない、と思って、色々想像して無責任に書き連ねてみようと思ったのがこの記事を作成しようと思った動機です。



まず、ゲームのメーカーである任天堂が、なぜゲーム性をいまひとつ感じられない状態でアプリをリリースしたのか。その理由を考察してみます。
  1. 据え置き機とは異質な要素を開拓したいため敢えてゲーム性を排除した
  2. 莫大なトラフィックや低スペック機での動作にも耐えられるようストレステストを行うためにシンプルな構成にとどめた
  3. まだ開発&運営チームが小さく体力に乏しく予算も少ないため制御しきれる範囲から始めることにした 
  4. 徐々にアップデートされる楽しみを残しておくため勿体つけている
この全てが当てはまるかもしれないし、当てはまらないかもしれないし、一部がそうかもしれませんが、ざっとこんな理由が思い当たりました。

任天堂がいくら巨大企業かつ、掛けられる予算が多いとしても、新規事業に割ける人材や予算はかなり抑えられていると想像されます。3についてはそういう事です。このスマホアプリ開発が社運を掛けて動いているため本社の決裁権のある人達からの全面バックアップがあってスタッフ総動員状態になってるなんてことはとても考えにくいです。
おそらく、名乗りを上げた意欲のあるごく一部の社員と、スマホアプリ開発のノウハウを持つ委託・協力会社の派遣スタッフがいくらかいる、といった小規模なチームと想像します。

また、ゲームに対する多くのノウハウを持っているとしても、新規事業にはそれが足枷になるとも限りません。同じ手法が別のプラットフォームで通じるとは限らないのです。特に、わざわざ別のプラットフォームへ進出するのに、今までと同じ手法をそのまま使うのでは芸がないというか、コンテンツを食い潰すだけになってしまいそうです。今までのプラットフォームでは産み出せなかった価値を探しに行くのが妥当でしょう。新規事業に掛ける予算は少ないかもしれませんが、会社の軸足というか本体が強固なうちはどっしり構えて動向や反響を見定められるでしょうから、まだチームの足回りが軽やかなうちに色々と試していきたいところでしょう。
それがおおよそ1で書いた内容の解説です。
なにせ、Miiを使ったゲーム性のある作品は既にDSで「トモダチコレクション」が作られており実績がありますし、続編が出るほどの人気もあります。なので、順当に行けば『トモダチコレクションのアプリ版』を作ればいいですし、多くの人が期待しているところかもしれません。それをしていないということは、単純にトモダチコレクション同様の要素を詰め込むとボリュームがスマホアプリとして大きくなりすぎるのもあるかもしれませんが、わざわざスマホアプリとして新規作成する理由がありません。
スマホのゲームは「移動時間中の電車や、用事の間のちょっとした時間ににサクッと暇つぶしができる」ものが好まれており、ゲームとしての奥深さよりも、手軽さと泡沫的な楽しみ方が求められる傾向にあります。なので、短時間で結果が出るパズルゲームや、ゲームとしての要素が薄いアイテムコレクション系が流行る傾向にあるのですが、おそらくその傾向を念頭に置いたうえで「任天堂が手掛ける意義のある内容」を徐々に搭載していくものと期待しています。

2の内容については、興味深い例があります。
【 24歳でスマホゲーム起業。開発に2,000万円かけたが「資金難と大バグ」のコンボで会社終了。アプリ「きのこれ」元社長が語る会社倒産後の世界。 】(←該当記事へのリンク有) 
基本線は異なりますが、 こちらが「シンプルな構成から始めるべき理由」を示すひとつの例となります。
ゲームとしての需要とクオリティがあっても、システムが破綻してしまったせいで脆くも崩れてしまった悲劇なのですが、 任天堂の場合はネームバリューが強大なため、アプリやゲームとしての面白さはともかくとしても話題性だけで一気にユーザーが増えるのは目に見えており、運営ノウハウに乏しいチームが抱えきれないトラフィックを一挙に抱え込むリスクが発生します。
もし最初から多種多様のゲーム性を持っていたとしたら。多数のアトラクションに潜んでいたバグがわんさかと露出し、クレームが怒涛に押し寄せ、 対応している間にユーザーの失望が広がり、失敗作の烙印を濃く押されてしまうことでしょう。今後改良されたとしても、戻ってきてもらえなくなりかねません。
しかし、面白みに欠ける内容しか無く一時的に軽い失望の色が広がったとしても、バグがわんさかと露出し なければマイナス側に大きく振れることはないですし、改良の予兆が出てきたならユーザーは喜んで戻ってくることでしょう。
良くも悪くもインパクトを残さず、深い傷を発生させない判断を行った結果のシンプルな構成、なのだと思います。
あと、自社製のゲーム機という「勝手知ったる自陣」に最適化されたゲームの作成から、多種多様な機器による動作となるスマホアプリの作成に変わることによって危惧すべきなのは、ユーザーごとに異なるスペックの動作環境であるということです。つまり、想定していたポテンシャルが出ない環境での動作が強いられる可能性が出てきます。
動作が遅い、やら、停止した、やらの声がよくスマホアプリで聞かれるのは、単純にユーザーが操作している端末がアプリの動作に事足りるスペックではないなんてオチもよくあるのですが、規定のスペックがあり確実に安定してゲームが動作する専用機で遊んできた任天堂のユーザーが任天堂のスマホアプリが出たからと始めてみたら、スペック不足による動作不良が頻発して「あの任天堂がバグだらけの不良品を出した!」などと喚き出しかねません。これはブランドイメージを損ね、既存のユーザーにそっぽを向かれる致命傷になりかねないので、可能な限り避けなくてはなりません。
安寧の地で平和を貪っていた人が、それと知らずに紛争地帯に出掛けてトラブルに巻き込まれてしまったような状況になります。違う気もしますがなんとなくそんなんです。
ともかく、スペック不良による不満が噴出するのを防ぐためにも、現行機種のスペックではなく、アプリが対応するOSバージョンの最も古い頃に出ていた機種の最も低スペックな機種でもまだある程度はきちんと動作するレベルを見据え、底を基準にしておく必要があります。
それでも任天堂にとってはまだ勝手が分からない場所での試行錯誤になるでしょうから、最初のうちはとことんシンプルにして、最低層スペックの人たちでも問題なく飛び越えられるハードルの位置を慎重に見極めていく作業がしばらく続くのではと予想します。

そして4の内容はいやらしい文になっていますが、言い換えてみればスマホアプリの最もたるメリットを活かすための最適解と考えます。
スマホアプリはコンシューマと違って、最初から完成されている必要はないのです。度重なるアップデートにより段階的に新しい要素を追加していくことで、利用者を飽きさせずにさらなる楽しさを継続的に提供できるのが最大の利点となるでしょうから。
「また面白いゲームが追加された! やっぱり任天堂はやってくれるぜ!」とユーザーに言わせたい。開発スタッフはきっとそう思っているはずです。

どうでしょう。このアプリの今後が大いに期待できませんか?
確かに現状ではやれることが少ないですし、質問に答えて一定数クリアすると新たなゲームや要素が開放されるなんてこともありません。
しかし、それは今が雌伏の段階であるから。まだまだいくつもの変身を残している。つまらないぞと投げ出してしまうのはあまりにも早い判断です。半年ぐらいたったらぜひ戻ってきてください。面白くなっていると思います。
ちょっと任天堂に対して謂れのない期待とプレッシャーを掛けてしまっているような気がしないでもないですが、個人的には現在の仕様を概ね好意的に受け止め、運営の判断はしっかりと地に足が着いており、スマホアプリのデメリットを良く理解した上での慎重さからこの内容になっていると考えている事がお分かり頂ければと思います。

余談含みではありますが、現時点でゲームらしいゲームの要素といえば、Miiが着用できるコーデを取得できるミニゲームですが、ピンボールのようないかにも古風なものです。
コンピュータゲームの最初期に開発されたのはこのようなピンボール系でした。まだ貧弱極まるコンピュータでも動作するためには、シンプルなプログラム(当時は記述がマシン語なんてのも)で動き、プレイヤーの理解も早く、短時間で結果が出るためです。それらはまさにスマホアプリが欲している要素です。動作に負担が掛かりにくく低スペックでも動作することや、プログラムが短いことによりバグの発生確率も低減できるのは、まだ始めたばかりで手探り状態の開発者にとって最も優先して実装したい仕様です。古臭いやら、目新しさがないとか批判が出てもそんなの関係ねぇって感じでしょう。そんな事を言ってる人を見たら、あんたがデバッガーとして対処してくれよと言い返したいと思うことでしょう。



次に、現時点(2016年3月21日)ではユーザーが楽しめるコンテンツとして唯一の多様性を持つ要素になっている印象のある「アンサー」が持つ可能性について。

ビッグデータ という言葉をご存知でしょうか?

主にTwitterユーザーには、NHKの「NEWS WEB」で取り上げられている「つぶやきビッグデータ」で馴染みがあるかと思います。
ビッグデータは企業によっては宝物に他ならない存在になってきています。マーケティングを行っている業種にとっては必須栄養素になりつつあります。
既存商品の改良や新商品を作るために参考にするアンケート調査は頑張ってもなかなか多くの有効サンプルが集まりませんが、インターネット上を数多に飛び交う情報をビッグデータとして収集して分析することで、それに取って代わるどころか、ケタ違いのサンプルが入手できる可能性があります。 
喉から手が出るほど欲しがっている企業も多いことでしょう。

任天堂のゲームユーザーという莫大なサンプル提供者数と、楽しさを加味することで活発化したコミュニケーションにより超ビッグデータを産み出せるポテンシャルが、この「アンサー」に秘められていると感じます。

提供されるサービスである以上は規約による縛りも看過できないかとは思いますが、第三者に見られることを前提とした コミュニケーションの場である以上、ビッグデータとして活用されるのを制止するのは事実上不可能でしょう。集められたアンサーをビッグデータとして情報提供してもらえるよう求める企業は多く出てくるでしょうし、自社の商品に関する意見を聞き出すために意図的な要素を含んだ質問を用意してくる企業もありそうです。
第三者がこれを言うのはよろしくないでしょうが、情報提供に伴う大きな金銭が動く可能性もあります。
このアプリから得られた情報を活用することによって、アプリ運営側と情報の提供を希望する企業の双方にとってWinとなるビジネスチャンスと見られます。ユーザーはコミュニケーションの楽しさを享受しているため、情報提供料を支払ってもらわなくても自ら提供することになるため、三者の立場それぞれで全てWinになるかもしれません。これは一見する限りではとても良い関係性です。

今後どう転ぶかわかりませんが、いずれの立場にいる人誰しもがこのアプリに関わって良かったと思える結果を産んでいってほしいものです。



では、明らかに順番がおかしいですが、レビューを書いて締めたいと思います。

まずはこちらをご覧下さい。



【悲報】という、キャッチーな見出しを作るのに良く使われる常套手段を用いる姑息なツイートになってて恥ずかしい限りなのですが、要点としては、現在(2016年3月21日)で用意された質問は545パターン(≒種類)か、それに近いものと思われます。理由としては、現在の私のアカウントでは、何度繰り返してもこのように表示されて新しい質問が出てくる様子がないのと、既に回答した質問に対するアンサーを削除してみるとその質問だけがまた投げ掛けられて、それを答えたらまた「質問を忘れちゃった」と繰り返すようになったからです。
質問はアプリ内で自動生成されるものでは無さそうですし、 ユーザーが自ら作る機能もないため、運営側から設定されている質問だけと思われます。そのため、次のアップデート(質問追加)があるまでは打ち止めとなり、このようなメッセージが表示されるものと思われます。(あくまで表示から推測した個人の意見です)

そして、このアプリにはデイリー任務、というか一日ごとに更新される「ポイント収集のためのノルマ」があるのですが、そのひとつに「1日に3回のアンサーをする」なるものがあります。
つまり、次の日もこのままの状態だった場合、このノルマが事実上達成できないことになり、割を食ってしまうことになります。しかも、多くの質問に答えてくれた上得意様なユーザーに不利となる仕打ちを与えるというあってはならない事態を招くことになるのです。
そのため、なんとしてでも1日ごとに最低3種類の質問を新規追加することを運営は \強いられているんだ! /(死語)

それと、対人コミュニケーションのサービスとして現状最大の意義を持っているのが特定の相手(フレンド)との「2人だけの秘密の回答」なのですが、これが案外厄介なのです。
このアプリは他のSNSであるTwitterやFacebookからのフレンド登録が現状のメインとなっているのですが、それらのSNSでつながっている人はネット上のいわゆるオンライン上の顔や行動しか知らない可能性が高く、このような質問に対する回答を得られるほどの踏み込んだ関係になっていないように思われます。
これを呼んでくれているあなたは、TwitterやFacebookで知り合ってフォローし合っている相手のその多くとオフ(リアル)でも顔を合わせて、互いを理解する時間を持っていますか?
おそらくそれに「はい」と答えられる人じゃなければ答えられない類の質問が多いです。
ちょっとこれに関しては何らかの救済が欲しいですね。 

とまあ、ざっくりとした内容ですがレビューと名乗ることにして締めたいと思います。

そもそも、この記事を見に来てくれた人は「どんなゲームなのか知りたいから、もっと基本的なところからやれることのレビューを書いてよ」と言われてしまうかもしれませんが、そういうのは他にいくらでもあるでしょうからここでやらんでもいいかなと思ってます。すみませんが他を当たってみてください。私より綺麗にわかりやすくまとめて紹介する人たちがレビューを作ってくれているはずです。
ま、論より証拠といいますか、基本無料のアプリなので、四の五の言わずにダウンロードして実際にプレイしてみてください。予備知識がないまま手を出しても、いきなり噛みつかれるような危険はないと思いますし。

それではみなさんも楽しく有意義なMiitomoライフをお過ごしください!