2015年6月に台湾の台北市内で開催されたコンピュータ関連製品の見本市「COMPUTEX TAIPEI」へ訪れたついでに、滞在時間が許す範囲で台北市内のアキバ系要素を探してみました。
日頃からアキバの文化に触れている立場から、台湾のアキバ観の共通点や差異を発見してみようという、個人的に興味深いテーマなのですが、本気でそれを求めるのであれば台湾版コミケと言われている「Fancy Frontier 開拓動漫祭」に参加するべきなのでしょうから、ここではあくまで“台北市の街に存在するオタク文化の端緒”を掬い上げる程度です。日本人の感覚で捉えているので、間違った受け取り方をしてしまっているかもしれません。
学術的どころか考察とも評せない、いち観光客の感想でしかない内容ですので、ここに書いてある内容を鵜呑みにして、さもこれが台湾のオタク文化だと思い込まないほうがいいかもしれません。偏見に憤慨したり期待を裏切ってしまっても責任は負えませんので。

幸いにも台湾では看板などに書いてある文字が漢字(繁体字)で、日本人には漢字が読めるし、大抵の意味も日本と同じはずなので、大きく意味を取り違えている事は少ないかと思います。
ですが文化の違いは確かに感じるため、通用しない点も多々あることでしょう。トイレットペーパーは流せないのです。
でもきっと同じ思いを抱いているはずです。駆逐艦は愛でる対象ではあっても、火遊びしてはならないと。

丹陽「司令!歡迎光臨台灣!」 (雪風「しれぇ!台湾へようこそ!」)

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まずは台北市の中心である台北駅から、地下街のひとつである「台北地下街」を訪れます。
http://www.taipeimall.com.tw/

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台北地下街のマスコットキャラクターである「九藏喵窩(DNAxCAT)」の絵が描かれた看板がそこかしこにあり、独特の雰囲気を作り上げていますが、全体的には服飾系を主としたお店が軒を連ねています。
オタク系の店は中央の辺りに集まっていて、規模は小さいながらゲーム、漫画・ラノベ、ホビーとひと通り揃っている印象。台北駅と直結していますので、台北に来てまず真っ先にオタク文化に触れるのにはベストの場所でしょう。
なお、2012年には九藏喵窩だけでなく「莉洋(リオン)」というキャラクターも採用され、キャラクターボイスに花澤香菜さんが抜擢されるなどして話題に上がっていましたが、今はもうその姿は見ませんでした。

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海外のオタクは日本の作品を日本語のまま楽しむ人も多いようで、日本語を学び覚える良い機会になっていると話を聞きますが、日本において英語の表記が「カッコイイ」印象を持たれるのと同じように、日本語のまま表記されているのが特別な価値を持つようです。そして「Made in JAPAN」のブランド力もあるのでしょう。
特にこの地下街では、バンダイ系列の製品広告が日本語のまま掲示されているのが目立ちました。

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もちろん中国語で表記されているものもあり、ソードアート・オンライン(SAO)の立て看板は中国名の「刀劍丹茵廚箸覆辰討い泙后サブタイトルの「虚空斷章」は「ホロウ・フラグメント」のことですね。
中国語の漢字表記には「繁体字」と「簡体字」があり、台湾では日本でいうところの旧字体、画数の多い字である「繁体字」が用いられています。対して簡体字は略字ともいえる画数を間引いた字で日本では馴染みの薄い字ばかりなので、おそらく識字率は繁体字の方が高いでしょう。なので台湾の文字表記は日本人にも「なんとなくわかる」ので色々と助かります。

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バンダイ系列ではこのブログで最も縁のあるメガハウスですが、台湾でも「メガちゃん」と「ハウスさん」で通じるようです。台湾でメガホビEXPOを開催したら、どのくらいの来場者があるのでしょうか、気になります。

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こちらは漫画・ラノベを扱う「卡力亞動漫精品專賣店」です。外観からその系統の店であると一目瞭然ですね。
「日系書籍専売」とあるように、日本の漫画やラノベ、アニメ系雑誌などが販売されています。雑誌はほとんどが日本語のまま、漫画やラノベは翻訳版です。個人的にはこの翻訳版の書籍が「日本語のニュアンスをどう表現するのか」興味深いため、台湾を訪れた際のお土産として買うのを楽しみにしています。

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ということで、今回はこの2作品を入手しました。
台湾でもやっぱり小学生と駆逐艦は最高のようです。(※ごく一部の観点からの感想です)
左はファミ通コミッククリアの漫画「艦隊これくしょん -艦これ- 4コマコミック 吹雪、がんばります!」で、右は電撃文庫の小説「ロウきゅーぶ!」です。まあ見ればわかりますよね。いずれも出版社は角川系列ですから、台湾角川から販売されています。
価格は漫画が120NT$(台湾ドル)で、ラノベが250NT$ですので、ラノベが倍以上します。考えてみれば、翻訳すべき量が小説の方が圧倒的に多いので当然でしょう。しかも、台湾のラノベは日本のラノベよりもサイズが大きく、新書版よりも大きい四六版ぐらいの大判です。かさばりますが、表紙や挿絵が大きいのはちょっと嬉しいかもです。一方、漫画のサイズは日本と同じでした。

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店の前には森薫先生の英国メイド漫画「シャーリー」の広告も貼られていました。台湾では外国語を音の似ている漢字を当て字で付けるパターンを多く見かけ、シャーリーの名は「雪莉」となっています。角川書店の台湾現地法人が手掛けているため、ロゴのデザインも漢字でバッチリ再現されています。シャーリーの顔立ちや髪は東洋人のように見えるので、雪莉という名前も違和感がないように思えます。むしろもう日本でも雪莉ちゃんでいいと思います。雪莉と書いて「せつり」などではなくシャーリーと読んだなら、キラキラネームだなって言われそうですが。
こちらの発売日は2015年5月となっており、日本での発売日から半年以上遅れていますが、他の作品はこれよりもっと短期間で翻訳版が出ている印象があります。もちろん日本語のままの作品を入手している人も一定数いるようで、近年では動画配信サービスの充実もあって日本国内との最新作に触れるまでの時間差も縮まる環境となっていて、日本でのブームがそのまま同時期に通用する状況になっているように思います。

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地上に出て台北駅の道向かいには、その名も秋葉原と書いてAkibaと読ませる「五鐵秋葉原」というショッピングモールがあるのですが、こちらはその名から期待するオタク文化は一切感じられません。秋葉原というよりも新宿やら渋谷のがイメージに合致しそうなファッション系がメインです。
ただ、以前はこのビルのテナントに「グッドスマイル×カラオケの鉄人カフェ」が入っていた頃もあり、全く縁がないということもないようです。無印良品やらモーモーパラダイスといった日本由来のショップも入っていることですし。
秋葉原という文字列は今や、台湾においてイメージダウンにもなりかねないオタクとは異なる概念で好意的な要素を有するブランドイメージを持っているのかもしれませんね。



続いて、台北駅から地下鉄「台北捷運(MRT)」の板南線に乗って一駅だけ西側へ向かったところにある「西門」です。こちらへは見て回る時間がほとんど得られず、とりあえず立ち寄った程度になってしまいましたので写真は少ないです。

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西門町は「台北の原宿」と呼ばれることがあるようで、その雰囲気は確かに竹下通りに近い印象です。
しかし、マスコットキャラクターはオタク系の印象があるデザインです。若者の街という括りで言えば、若者の好むデザインということで間違っていないでしょうし、ファッション系以外にもサブカル系も多いようなので好きな人は多いでしょう。なにしろ、アニメイト台北店がある街でもありますので。
マスコットキャラクターの名前は「林默娘」で、漫画「冥戰錄」のメインキャラクターで、魔法少女とのことです。そのモチーフは道教の神「媽祖」のようです。媽祖と言えば日本では横浜中華街の「媽祖廟」でその名を知られていますね。
古くから信仰されている神を萌えキャラにする。この感性はまさにアキバ系。偶像崇拝万歳。
ちなみにこの林默娘は、どことなくアルトネリコシリーズの「シュレリア様」に似たデザインのため、勝手にロリBBAかつドジっ子属性がセットで脳裏に固着してしまいました。間違ってたらすみません。だがそれがいい。

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西門町の街並みはこの通り。いかにもな繁華街です。

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この辺りにある個人経営の飲食店で、大衆料理を味わいました。
上は台湾のローカルフード代表のイメージがある「魯肉飯」です。鼻腔に広がる八角の香りが台湾で食事しているなって感覚を引き立ててくれます。
下は中華風トンカツと言える「排骨(パーコー)」の付け合わせ麺です。アキバの肉ビルこと「肉の万世」で「パコる」と公式で発言されているあのパーコー麺です。台湾ではラーメンではなく「牛肉麺」というのがベーシックで、どう違うのかというと説明できないのですが、少なくともこのお店ではラーメンというよりうどんに近い麺でした。スープもあっさり系のシンプルな出汁で、くどさはなく、するすると食べられました。



続いては、アキバ系として忘れてはならない「電子パーツ」系のショップが多いエリアです。
それは、西門と同じく台北駅から地下鉄「台北捷運(MRT)」の板南線に乗って、西門とは逆方向に2駅先にある「忠孝新生」駅から大通りを北へ少し歩いたところにある「光華商場」です。
こちらは秋葉原のラジオ会館よろしく、最近(と言っても2008年ですが)に新しいビル「光華數位新天地」となって、それほど古めかしい建物ではないのですが、内部は旧ラジ館や「秋葉原ラジオセンター」や「ニュー秋葉原センター」の趣に似た、昔ながらの電気街を思わせる「こじんまりした区画のテナントに盛りだくさんのパーツ」形式で、昔ながらの秋葉原をイメージしている人にはドンピシャの景観です。

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ことパソコンのパーツと言えば台湾メーカーの寡占状態となっているので、当然ながらこの系統はお手のものでしょう。工場直送でマージンレスという利点もあったりするのでしょうか。
特性上、グレーな商品も多そうなので、あまり写真は撮りたくない場所ですね。

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ちなみにこちらが光華商場のマスコットキャラクターもとい看板娘。日本で看板娘というとマスコットキャラクターというより、店主の娘だとかアイドル的人気の店員をイメージしますが、こちらでは読んで字の如く看板の娘を表しているかのようです。アイドル的存在といった意味も含むでしょうが。
こちらは日本人の感性にもしっくりくる萌え系の絵柄でありながら、チャイナドレスを身に着けているというステレオタイプでわかりやすい中華系デザインのため、日本人受けが良いキャラクターになっているのではないかと思います。胸の谷間を拝める窓や、白いタイツとスリットが織りなす絶対領域まで完備し、おもてなしの心(性的な意味で)を感じます。いいぞもっとやれ。


で、その光華商場ビルに隣接する形で近頃オープンした「三創生活園区」も、来訪者のターゲット層は同じようです。経営母体である三創數位はフォックスコン(Foxconn)傘下の企業のようで、やはり電子デバイスが主となるショッピングモールと言っていいでしょうが、その形態は光華商場と大きく異なり、商店というよりは「メーカーのショールーム」といった様相となっています。テナントごとにメーカーの名称が掲げられ、大きなテナントにブランドイメージを引き立てるような凝った展示がなされています。
その中で、電子機器とは関係無いカテゴリながら、このブログでは最も縁のあるショップがあります。

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日本でも2店舗しかないコトブキヤのショップがあるのです。(台湾の代理店「ASIA GOAL」の運営)
秋葉原の店舗には個人的に大変お世話になっております。

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ショップの入口には、日本のショップで抽選販売が行われるほどの入手競争率の高さを誇る「フレームアームズ・ガール 轟雷」の立て看板がありました。当然のようにこちらでも在庫はありませんでしたが。

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ほとんどの製品は日本円表記だったのですが、なぜか「デート・ア・ライブ(約會大作戰)」の時崎狂三だけは米ドル表記でした。せめて台湾ドルにすればいいのに。
このへんの事情は複雑そうなのでツッコミはほどほどにします。



さて、これ以外にも台湾のアキバ系エリアはあるかと思いますが、動ける時間が少なかったので台北の中心部で有名ドコロだけ一巡りした程度です。これだけでも台湾のオタク文化を理解できたつもりになってしまいましたが、日本のオタク文化ですら底の深さが見えないだけに、まだまだ氷山の一角を見た程度にすぎないのでしょう。

ところで、台北の繁華街には多くのスマホゲームの広告が目に付きました。その中でもこちらが気になったので一枚貼ります。

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梅露可物語」という作品のようで、日本でも「メルクストーリア」として配信されているスマホゲームのようですが、漢字しか並んでいないと思える文字の中に「の」の文字だけがなぜか混じっています。
実はこの広告以外にも、いくつかの広告で同様に「の」だけが混じっているのを見掛けました。
どうやら「の」の文字をデザインに組み込むのが台湾で評判が良いみたいですね。丸くて愛嬌があり、渦を巻くような形状が漢字には無い柔らかな印象を与えるのが良いのかもしれません。作品のロゴも丸いですし、このような可愛らしい絵柄の作品には合致するのかもしれませんね。

また、駅の中の広告でその存在を多く見かけたキャラクターとしては、キャラクタービジネス界の重鎮である「キティ ホワイト」氏です。

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キティ氏は台湾の航空会社「エバー航空(EVA AIR)」のマスコットキャラクターも務められており、盟友であるマイメロディやリトルツインスターズ達と共に同社のジャンボジェット機にラッピングされるほど、まるで自分は既に台湾の顔だと言わんばかりのドヤ顔でその姿をあちこちに現していました。
まあそれは、たまたま台北の中心部と空港に用があったので必然的にエバー航空の広告を目にする機会が多かっただけでしょうが、それでもその存在感はさすがの一言です。
そして自他共に認めるキティGUYのワタクシは、キティ氏のお土産も買った次第です。

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ご当地キティのカテゴリに入りそうな、原住民族の民族衣装を纏ったキティ氏の姿が描かれた餅菓子のパッケージです。中身の餅菓子はどうでもよく、パッケージ収集のためだけに買いました。キティGUYだからね、仕方ないね。
民族衣装のデザインなど全くわからないのですが、やきう民でもあるワタクシとしてはアミ族くらいは知っていますので、そちらの民族衣装なのかなと思ってます。ほら、購入した事に対して「サンキューで〜す!」と答えているように見えますYoね。

結局、キャラクターの逆輸入品ばっかり土産にしてますが、ワタクシは幸せです。