DDCとはこれいかに?
記事のタイトルだけ見た人は、DACの誤記だと思う人もいるのではないでしょうか。それほどにDDCなるカテゴリは認知度が低いようです。

DACは「デジタル to アナログコンバーター」の略。対してDDCは「デジタル to デジタルコンバーター」です。
デジタルからデジタルって、コンバーターと自称しながらコンバート(変換)してないじゃん! とツッコミたくなるのを抑えて読み進めてください。
入力側のデジタルはPCからのUSBデータ。それをデジタル音声形式であるS/PDIF等に変換し、オーディオ機器で直接入力できる規格に変換するのが、このDDCなる機器の役目です。デジタル同士とはいえ、変換する意味はあるんですね。

今回紹介する機器「UC384 WX」情報のページに、このような図がありました。

UC384接続例
DACというとポタアンを連想する人も多いと思います。ヘッドホンアンプが入っていて、ヘッドホンやイヤホンをつないで音楽を楽しめる機器がほとんどです。
据え置きの高級機もあり、RCA端子のアナログ出力が付いているのに加えてS/PDIFデジタル出力もあるのが一般的ですね。
そこにあって、デジタル出力しか無いDDCの存在価値はあるのでしょうか。
ひとつは、上の図のように接続する相手がデジタル音声入力端子を持っている機材の接続に利用する場合。DDCは機能がデジタルコンバートに特化しているので、同じ性能で比較すれば安価かつ小さくなります。アンプ付きのDACは異なる機能が回路にひしめき合っているため、安価なモデルであればそれぞれの回路のノイズやジッターの影響を受けて音質を犠牲にしてしまう事が多く、デジタル出力も期待するクリアな音声データを発せない事がままあるようです。
音楽を聴くのに利用しているCD/MDコンポなどにデジタル入力(S/PDIF同軸)があり、そのコンポが鳴らす音がとてもお気に入りで、そのコンポのスピーカーからネット配信で取得した楽曲をPCから直接聴きたい、といった希望があるのなら、DDCが最もシンプルでコストパフォーマンスが高い選択になるでしょう。

こちらの「UC384 WX」にはS/PDIF同軸端子だけでなく、高級機やプロ用の機材に使われている上位規格の「AES/EBU(AES3)」も付いているので、高級機での利用にも通用する高音質が特長のようです。AES/EBUはXLRケーブルを利用するバランス接続のため、ケーブルが拾ってしまうノイズも打ち消せるのでしょう。



それでは、実際の機器がどんなものなのか取り上げていきます。レビューですからね。
そもそもこの記事は、アキバの謎コネクションによってステマをする代わりに機材を借りて試せる機会を得たものなので、こう書いた時点で既にステルスしてませんが問題ないでしょう。オーディオ機器はそこそこなお値段がしますから、レビューするためとは言ってもそうポンポンと購入できませんからね。
ましてやDDCなんて、ちょっとキワモノですし。

では、本体のサイズを写真で紹介します。

UC384_1

他のオーディオ記事では主にミクダヨーさんに活躍してもらいましたが、今回はHMOミクさんにお願いしました。
大きさ比較には、ねんどろいどフォーマットが大変便利です。少なくともこのサイトの主な閲覧者の方々には、タバコの箱よりもサイズが連想しやすいでしょうし。(それは言い過ぎか)
USBのバスパワーは、PCからのノイズを混入させてしまうので非対応のようです。なので付属のACアダプター、または「U Power」という専用のバッテリーパワーユニット(別売品)を利用します。
なので、ACアダプターも並べて置きました。コンセント口にユニットが付くタイプのACアダプターなので、使用する際のサイズは本体だけを考えればいいと思います。
やはり、高音質に注力したハイパフォーマンスな機器とは言ってもデジタル変換に特化しているだけあって、なかなかコンパクトに収まっている印象があります。

UC384_2

並べて置いただけではまだ判りづらいかもしれませんので、上に乗せてみました。借り物とは思えない扱いですね。
ねんどろいどを上に寝かせると、ちょうど同じくらいの大きさになる感じです。情報ページでは「手のひらサイズ」を謳っています。

続いて、肝心の端子です。

UC384_3

今度は、メーカー名「KingRex」からの連想で、フィギュア界の王であるセイバーさんに登場してもらいました。あまり王の威厳が感じられない顔をしているのはご愛嬌です。それにしても、KingRexとは英語とラテン語の王を並べている、自信満々な名称ですね。よっぽど製品の品質に自負があるのでしょう。
さてレイアウトは、中央に見慣れたRCA端子のS/PDIF、いわゆるCoaxial端子があります。左にはXLR端子のAES/EBU(AES3)、右にRJ45端子を用いたI2Sがあります。
XLRとは言っても、これって通常のXLRじゃないですね。Tiny XLRなるXLRのミニサイズ版らしいです。実際にオーディオコンポーネントに付いているAES/EBU端子は通常のXLRですので、ケーブルで変換しなくてはなりません。さあどうしましょう。

TinyXLR-XLR変換ケーブル

そんな声が出るのを先回りして、この機器には2mのTiny XLR to 標準XLRケーブルが同梱されているとのことです。しかもプロ御用達のメーカー製である高品質ケーブルが。別途XLRケーブルを用意する必要がないのですね。恐れいります。

一方、RJ45という一般にはLAN端子として知られる端子から、本来はDACチップに入力するための内部回路用の信号規格であるI2Sが出力されているようですが、これは接続できる機器がごく一部となるようです。そもそもI2Sは外部接続用に規格化されていませんからね。メーカー独自の仕様のようです。
こちらの端子を使う場合は、今後発売予定の同メーカー製DACをお待ちくださいとのことでした。しかし、この接続こそがこの機器のポテンシャルを最大限に出力し、最高の音質を届けられる(384/32bitに対応)ため、洗練された最高音質を求める方は今後にご期待ください、だそうです。もったいつけられちゃいました。

UC384_4

電源とUSBの入力側は、正対する位置に設けられています。
この手の製品は大抵の場合、背面に全ての端子が集中しているものですが、こちらの製品はボタンやボリュームつまみ、ディスプレイ等のコンパネが必要のないコンバーターなので、サイズを小さく抑えつつ回路の分離を良くする理由で、このようなレイアウトになっているようです。コンポに重ねて置くというよりは、コンポの脇や配線の裏など邪魔にならない位置に置いておくイメージなのでしょう。



実際に利用する場合は、多くのDACと同じく「foobar2000」などのプレーヤーソフトを使って、出力先をこの機器に選択して音楽を再生します。

UC384未指定

PCに認識される名称は、上の画像の通りです。こちらを出力先に設定すれば、デジタル音声端子から高音質で音楽のデータが出力されます。

肝心の音については、我が家にAES/EBUを有する機材はひとつたりとも無かったので、以前レビューした「JADE casa DSD」にS/PDIF接続して、JADE casa DSDのみで聴いた時と、UC384を通して聴いた時の聴き比べをしてみました。UC384を通した後でも同等の音が出るのであれば、少なくともJADE casa DSDのポテンシャル以上の音質であると判断できるからです。

結果は――違いが判りませんでした。ということで、恐らくは「それ以上」の音が出力されているものと思われます。
JADE casa DSDは、Hi-Fiと呼ばれるピュアオーディオの真髄である「原音に忠実で澄んだ音」が、この価格帯の製品としてはかなり高いレベルで実現されている製品と評価していますが、味付けは最小限で、組み合わせた機器の特性が活かせる仕様であると感じています。
このJADE casa DSDに接続して、なお音の性質が変わらないということですので、このUC384も同じ特性であると判断できます。原音再現性が高く、味付けが少なく、組み合わせる機器を選ばないタイプ。ヘッドホンでいうところのモニター型と言えそうです。
接続先が、メーカーの味付けが色濃いコンポであっても、その音の特性を損ねること無く、ポテンシャルを活かしきれるのではないかと思うので、DDCという機器の性質としてはベストではないでしょうか。

コンポのエントリー機に採用例の多い光デジタル端子はありませんが、中級機から高級機に掛けて実装されていることが多い同軸デジタル(Coaxial)端子とAES/EBU(AES3)端子があるので、持っている機材にこだわりがある人ほど向いていると思います。なにせ、お金を掛けて構築したサウンド環境をそのままPCオーディオ再生環境に出来るわけですからね。PCオーディオではハイエンドモデルは皆無に等しいので、ハイエンドのオーディオ環境で、最近普及してきたハイレゾ配信の楽曲を「自分にとっての最高の音」で聴くには最適かもしれません。DDCという機器をひとつ挟むだけでそれを実現できてしまうのですからね。

最後は、自分の持っている環境では成し得ないため想像になってしまっていますが、そういうことで間違いないと思います。我こそは構築したリスニング環境に自信があるぞという方は、こちらのDDCを導入検討してはいかがでしょうか。



【追記】
知人である「台湾在住日誌」の中の人(日本語が堪能かつ流暢すぎる台湾人)も、所持しているONKYOの据え置きDAC「DAC-1000」にAES/EBU接続があり、台湾製品かつ台湾他各国のレビューが好評だったからとの理由で、この機種を導入したとのことです。
付属のケーブルを利用してのAES/EBUでのリスニングは、すこぶる良いとのこと。DAC-1000は元々USB接続が行える機種だけど、その機能はオマケで、AES/EBUを使ってこそこの機種の真価を発揮すると確信した、みたいなことを言ってました。期待通りに生きてくれて良かったですね。
ウチのDACはAES/EBUが付いてないから同軸接続だったし、ケーブルも専用品ではなかったから、真価が発揮できておらず、DDCが発している本来の音が聴けなかったのかもしれない、とちょっと残念な気分に。

それと、国内代理店の会社が来訪者への試聴サービスを始めたようなので、興味のある方はいかがでしょう。
アキバにある会社なので、フィギュアを漁ったついでにも行きやすいですし。(謎基準)