わかりやすいのかどうかはダヨーさんとのにらめっこに耐えられるかどうか次第という、人を選びまくってしまった気がしないでもない、オーディオ雑学記事第一弾「ハイレゾ」学習記事が、予想以上に反響を頂いたので、調子に乗って第2弾をご用意いたします。

初音ミクさんと言えば、説明するまでもなく【デジタル】世界の住人で、そこから派生したミクダヨーさんは、デジタルの初音ミクさんを【アナログ】に変換して3次元の現実世界へ出力したら、なにかが違うような見た目になってしまい、それはそれで独特のキャラクター性があるからと、ややコアな層から人気を集めるキャラクターです。

似ているようで似ていない少し違うミクさん。
これ、実は「ジッター」そのものなんですよね。


結論から言うと、ジッターとは「デジタルからアナログに変換した際に発生する変化」の事です。 広義ではノイズのひとつと言えそうですが、狭義ではノイズとは異なるものです。 ノイズはデジタルでも発生しますが、アナログでも発生します。対して、ジッターはデジタルからアナログに変換する過程でしか発生しません。
実際にはアナログからデジタルに変換する場合にも同様に発生しますが、楽器を演奏して録音する機会よりも、もともとデジタル信号となっているオーディオデータを視聴環境の機材でアナログに変換しながら聴く条件が多く当てはまると思いますので、ここではデジタルからアナログに変換する「DAC」のみ取り扱います。

DAC概念図


DACと言っても、多くの人は機器としてのDACをイメージすると思いますので、まずは上に掲示した図でDACについてスッキリ理解しておきましょう。
全てこの構成に当てはまらない(特にAMP回路の有無)のですが、この手の製品でよく売れている「ポタアン」はこれに該当するので、基本はこんなんだと思っていいでしょう。ちなみに左端のDAPというのは、デジタルオーディオプレーヤーの略です。スマホとかiPodとかウォークマンとかの事ですね。

再生する機器(左端)からはUSBケーブルで接続されるとして、まずはUSBのに乗っているPCMの信号をDDC回路(デジタルtoデジタル変換回路)で、オーディオ機器で扱いやすいデジタル音声信号に変換します。一般にはIC間を接続する専用フォーマット「I2S」に変換されます。
続いて、I2SからDACに入るのですが、ここまではデジタルのデータなので、遅延こそあれ「ビットパーフェクト」で一切の変化はありません。データ上では。
そしてDACにてデジタル信号がアナログ信号に変換されるのですが、この処理でジッターが発生します。
発生源は、処理を行うためのクロック周波数です。
クロック周波数は、PCMデータのサンプリングレート(CD-DA形式だと44.1KHz)がまずベースとなり、異なるクロック周波数で動作するUSB転送を経てDAC回路に辿り着きます。辿り着くまでの回路でクロック周波数が足並みを揃えていなければ、どんどんズレが発生していって、デジタル信号といえども破綻していきます。PCMの音声データ単体でも、サンプリングレート変換を適切に行わなければ、再生速度が早くなったり音が高くなったりしますが、それと同じで「変化」が起きてしまいます。
常に変化が一定であれば、変化した分を後から元に戻せばいいのでしょうが、いろいろあって変化は一定ではないため戻せません。いろいろあってのトコロはやや技術論となって難解なので説明が長くなるというか、ワタクシ自身が正しく理解し、伝えられるかがとっても怪しいので記述しません。ここでは、そんなものなのかとだけ思っておいてください。

つまり、先述したとおりこうなります。

ジッター変化イメージ

デジタル世界のミクさんが、アナログ世界に変換された結果、一見すると似ているけれどもどこか異なるモノとして出力されましたの図です。
ツッコミどころは満載ですが、あくまで概念です。ジッターはデジタルからアナログに変換する際に発生する変化だと覚えるための方法論です。しっかりと目と脳裏に焼き付けていってください。
今夜もミクダヨーさんが夢にお邪魔してくれるかもしれませんね。

よっぽど変換精度の悪いものでない限りは、実際にはここまで目に見える差ほどの変化は感じられないと思いますが、ジッターの発生により音が間延びしたり詰まったりして、本来の信号とは異なる変換結果となります。
音に本来の信号以外の「雑音信号」が混入する「ノイズ」とは異なり、信号は綺麗なままなのですが、音としては「間延びしたように聴こえてキレが無くなる」や、ドラムセットなどの「リズムが揺らいで不快感がある」などといった感覚として表れます。具体的にどこがどう変わったと言い当てられるほどではないかもしれませんが、どこかおかしいと思えるレベルには感じられるでしょう。

ノイズ混入イメージ

ノイズとの比較という意味では、ご覧のとおりです。画像におけるノイズを加えたものです。
これはアナログ信号同士で、ケーブルを接続した先のスピーカーで発生したりだとか、最近の人には伝わりにくいでしょうが、ダビングを繰り返したカセットテープで発生するようなものです。
基本となる形状には変化はありませんが、ノイズが混入(重畳)されることで鮮明ではなくなり、本来の音が不鮮明になります。そして、画像でいう白い部分=音でいう無音の部分にもノイズは入るため、曲の最初や最後の無音部分でノイズの存在を顕著に感じます。(サーとかボーという音です)

ノイズは他にも、主にケーブルの抜き差しによる電圧の変化に起因する「プツッ」と音がする「クリックノイズ」なんかもあり、発生原因は多岐に渡りますので、こちらもなんとなくの理解でいいと思います。


ノイズは電源の電磁波や電力波形の乱れ、異なるケーブルの周波数混信などが原因で発生するため、電源部分と変換回路を電磁波を通さない素材で分離したり、ACの電圧からDCの電圧へ変圧するトランスを高品質にしたり、シールド被膜のあるケーブルにしたりフェライトコアを付けるだのといった対策で軽減します。
対して、ジッターはDAC回路に入ってきた周波数と、高精度に一致させたクロック周波数を受け取ってアナログに変換する他ありませんので、クロック周波数を発生させるための回路の精度が重要です。
精度の高いクロックを発生させるのは水晶です。はい、時計で言うところのクォーツです。
なので、変換回路を制御するクロック周波数は、クォーツ時計と同様に水晶振動子により制御されています。この精度が高いDAC機器ほど、破綻のない高精度なデジタル信号からアナログ信号への変換を行い、本来の音声信号に近い音の波形を復元してくれます。


ということで、結構色々と盛り込んだ上に、ワタクシ自身も不明瞭な点が散在するので、鵜呑みにしないほうがいいかもしれませんが、大まかには間違っていないはずですので参考程度にはしていいでしょう。つまり、ここに書いてあることをドヤ顔で他人に教えるのはオススメしませんよ、くらいの理解で良いです。

結論としては。

やっぱりオーディオって技術論ありきの難解な沼ですね、って事です。そりゃ技術論を理解する機会がなければ、オカルトめいた話に聞こえてしまいます。電源の事なんて特にそうですよね。電源次第で音が変わるなんて、電気系の知識を得る機会がなかった人にとっては、普通の生活をしているだけだと思いも付きませんもの。
まあそれでも、電力会社ごとの音質云々はネタだと思いたいですけどね。送電経路とかもっと別の要因による影響のが大きいでしょうし。