「ペンタックスのLimitedレンズを買うことを……強いられているんだッ!」

既に忘れ掛けられているであろうこのテンプレのフレーズですが、約1年2ヶ月前行った「PENTAX Q10」のレビューで使ったのを思い出したので、そのパターンを踏襲しつつ、一巡りして逆に新鮮なのではないかという期待を込めて今回も使ってみました。現時点で同シリーズのアニメで話題になっているのは縦セタのようですが。

さて、検索サービスから記事の件名でご覧頂いている方もいらっしゃると思うので、虹ヲタトークはほどほどにしておきましょう。
まずは今回紹介する、ペンタックスKマウント用レンズの新製品(2013年12月8日時点)である「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」の特徴を、ざっくりと解説します。

  1. 「Limitedレンズ」シリーズの新製品
    このレンズは、ペンタックスの一眼カメラ用レンズの代名詞ともなっている「Limited」シリーズの新製品です。
    Limitedシリーズの特徴は、アルミ削り出しの上質な鏡胴で作られている点と、スペックでは無く「人間の目」で判断してチューニングされている描画力を持つ点です。
    これまではこれらに加えて、単焦点レンズである事も特徴のひとつでしたが、今回登場したこのレンズによってそれは過去のものとなりました。
    アルミ削り出し鏡胴は見た目の上質感だけでなく、ひんやりとして硬質な手触りや、機能美を感じさせるクラシカルなデザインが好評で、所有欲も大いに満足させてくれるレンズのブランドとして評価されています。
    Limitedシリーズの描画を一言で表すならば「立体的な画になる」でしょう。奥行きや空気感を描画するレンズと言われており、この代え難い描画力があるからこそ、ペンタ党から離れられないと宣言する人も多数いるようです。

  2. 「Limitedレンズ」シリーズ初のズームレンズ
    ズーム機構がLimitedシリーズとして初めて採用されました。
    20mmから40mmの間の焦点距離が扱えます。APS-Cセンサー専用設計ですので、35mmフルサイズの換算で約30mmから60mm相当の画角となります。
    たかが2倍と侮るなかれ、20mmと言えば広角域ですし、40mmと言えば標準から中望遠に掛けての画角となりますので、汎用性は相当高く、数字の印象以上に画角が変わります。画角として表すと、ワイド(広角)端で70度、テレ(望遠)端で39度です。
    風景撮影やスナップショットにはもってこいの画角となりますので、常用レンズとして便利に使えてなおかつ写りも上質となれば、街撮り用レンズの決定版として期待できます。

  3. 「Limitedレンズ」シリーズ初のレンズ内モーター(DC)AF仕様
    Limitedレンズは小型単焦点レンズである事とイコールだった印象でしたが、ズームレンズである点に加えて、レンズ内モーターが搭載されたことで、過去に類を見ない大きなサイズになりました。その点ではLimitedレンズの長所を削いでしまったと感じる人もいるでしょうが、AF動作の静音性や素早さが増した点との引き換えとすると、結果としてプラス側が大きいでしょう。しかし、持ち運びの際に小さいスペースで済む点をLimitedシリーズの長所として何よりも重視していた人にとっては大きなマイナスになるかもしれません。

  4. 「Limitedレンズ」シリーズ初の防滴(WR)仕様
    荒天時を含む、フィールド撮影に適応できるのを売りとしているペンタックスの一眼カメラ用レンズとしては欠かせない条件になりつつある防滴構造。常用レンズとして、どんな状況下でも安心して使える防滴構造である点は非常にありがたい要素です。

特筆すべき点は上に挙げた4つになるでしょうが、他にも、円形絞りを採用している点や、HDコーティング(smcコーティングの後継)を施している点、FAレンズ群(フィルムカメラ用の古いシリーズ)同様にブラックだけでなくシルバー色もラインナップしている点などが特筆すべき点となるでしょう。


以上がざっくりとした解説となります。

このように、Limitedシリーズとして初の試みが多く盛り込まれた意欲作と言える存在です。

ペンタ党員としてその意欲をいち早く汲み取るべく、Limitedの名を冠するのに相応しい銘玉が登場するのを大いに期待し、発売直後に購入した次第です。



続きまして実際のレンズの写真をご覧ください。

Pentax 20-40mm Limited 01

パッケージ。
個人的には、ペンタックスがリコー(リコーイメージング)のブランドになってから初めて購入した製品ですので、左上のメーカーロゴがRICOHとなっているのが違和感ありまくりですが、だからこそ最新製品を手にした実感も湧きます。

Pentax 20-40mm Limited 02

レンズは黒い巾着袋に入った状態で収納されています。これは今までのLimitedレンズと同様ですね。

Pentax 20-40mm Limited 03

こちらがレンズ本体です。
色はシルバーを選びました。シルバー色のFA Limitedに憧れていたので、HD Limitedレンズシリーズにシルバー色が標準でラインナップされると聞いて非常に嬉しく思いました。低価格帯の製品で多様なカラーリングによるラインナップ展開が他社へのアドバンテージとなって良く売れた事が、2色展開の要因の一端になったのでしょうか。所有欲を満たす上で、他の人が持っているのとは違う物を持っている「レアリティ」要素もプラス材料となりますので、この方針は大いに歓迎します。
基本的な造りは、そのFA Limitedから続くデザインコンセプトを踏襲しているようで、フォーカスリング周りは同一と言っていいほど似ています。フォーカスリングの上に、赤いラインが入っているのが見分けやすい要素ですね。
そして、今回初めてLimitedレンズに採用されたズーム機構を扱うためのズームリングは、ギザギザの面と、台形に盛り上がってフラットな面が交互に形作られたデザインとなっていて、フォーカスリングとの手触りの差が明確になっています。離れているため取り違えることはないでしょうが、レンズによってはズームリングとフォーカスリングの位置が逆転しているレンズもあるので、こうした配慮は必要でしょう。
レンズキャップはLimitedシリーズ定番のデザインで、鏡胴と同じくアルミ削り出し。キャップ内にはフロッキー生地が貼り付けられているのもいつも通りです。

Pentax 20-40mm Limited 04

レンズキャップを外した状態。
鏡胴が最も長くなるのは20mm(ワイド端)側ですので、これが最も長い状態です。

Pentax 20-40mm Limited 05

最も短くなるのは30mmあたり。低価格の標準ズームレンズでも良く採用されている、伸びて縮んでまた伸びて、のタイプです。ただし、安価なレンズにありがちな、ズームしたりフォーカスの操作をするとレンズの前玉も回転し、フィルタ(特にPLフィルタ)の効果が変化してしまうなんてしょっぱい機構ではないのでご安心ください。
標準域をカバーするレンズで、マクロレンズでもないし、倍率も高くないですから、全長の変化はかなり小さいですね。

Pentax 20-40mm Limited 06

先端は取り外せます。と言いますか、取り外さなければフィルタ類は取り付けできません。
フィルタ径はΦ55mmであり、Limitedレンズとしては初めてですし、Kマウントレンズとしても珍しいサイズと思います。独特の刻印があり、Limitedレンズらしい特徴のあるこの先端のフレームを、フィルタ装着時には取り外さなければならないのはちょっと残念に思いますね。

Pentax 20-40mm Limited 07

前玉。
20mmからですので、広角域をカバーするレンズですが、せり出しているようなことはありません。全てのフィルタが問題なく装着できるでしょう。再度書きますが、フィルタ径はΦ55mmですのでペンタックスユーザーとしては持っていない可能性が高い径です。Φ58mmのレンズを持っている場合には55mm→58mmのステップアップリングを導入するのが良いかもしれません。
絞り羽根が見えますが、円形絞りを採用しているレンズでもあり、9枚となっています。

Pentax 20-40mm Limited 08

マウント側。
ズームレンズかつデジタル専用かつF2.8スタートである事から想定出来ましたが、マウント側のレンズ経は小さいです。
マウントの外側にも赤い円が描かれていますが、こちらは防滴を実現するためのシーリング用のゴムのようです。

Pentax 20-40mm Limited 09

ご存知とろとろ姫FA77mmF1.8 Limited」と並べてみました。
さすがに単焦点レンズと比べると大きいですね。
色もわずかながら違うように見えます。このFA77mmも製造工場がベトナム製になってから購入した物ですが、案外異なるものなのですね。

Pentax 20-40mm Limited 10

そして、高倍率ズームレンズである「DA18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR」と並べたもの。常用レンズとして持ち歩いているので印刷が剥げ落ちていて、みっともなくてすみません。
で、ご覧のとおり、最も短い状態(収納時)ではほとんど同じサイズです。つまり、DA18-135mmを付けっぱなしで持ち歩くのと同じ感覚になります。そう考えると、Limitedレンズの印象を覆す大きさと感じます。これは残念に思う人も多そうですね。スペックを考えると仕方ないと思いますけども。

Pentax 20-40mm Limited 11

K-01に装着してみました。
勝手に脳内イメージキャラクターにしている、ファイヤーシスターズのでっかいほうさんがコロンビアしてますが意味はありません。

Pentax 20-40mm Limited 12

そして、Q10にもKQアダプタを挟んで装着してみました。シルバー色同士なので配色はベストマッチですが、なにぶんアンバランスに見えますね。焦点距離も35mmフルサイズ換算で110mmから220mmとなり、中途半端な域になってしまいます。


それでは作例(実写画像)の紹介に行きましょう。
レンズの特性を確認するための写真ですので、カメラの設定に左右されない撮って出し画像を掲載するのが原則なのでしょうが、結局はカメラ内現像の時点でいくらでも結果が変化してしまうので、描画特性になるべく影響がなさそうな設定で出しています。ただし、発色はかなりいじっているものがあるので、色味の参考にはしないでください。

20-40Lim 作例 01
作例1: 40mm F4.0 ISO1600

まずは季節的なところで、近所の公園に植えられている楓が紅葉の最盛期でしたので撮影してみました。
テレ端40mmでの開放絞りF4.0です。

20-40Lim 作例 02
作例2: 20mm F2.8 ISO100

上の写真とは対照的に、ワイド端20mmで近接撮影したものです。ワイド端では開放絞りがF2.8となり、広角ながら大きなボケも扱えます。
最短撮影距離は0.28mとなっており、それなりに寄れます。この写真はその最短撮影距離ギリギリまで寄って撮影しました。

20-40Lim 作例 02 等倍
作例2原寸: 20mm F2.8 ISO100

作例2の写真を原寸大でトリミングました。クリックすると原寸大で見れます。
先行したレビューで、絞り開放では描写は甘めだと評価されているのを見掛けましたが、これだけ解像していれば充分と思います。

20-40Lim 作例 03
作例3: 20mm F2.8 ISO100

作例2と同じ設定で、地面に敷き詰められた落ち葉を撮影したもの。
フォーカス域では単焦点レンズに匹敵する解像力があるように見えます。絞り込めばもっと良化するでしょう。
Limitedの名に恥じない写りであることは疑いようがありません。

20-40Lim 作例 04
作例4: 40mm F4.0 ISO100

ここで味わい重視の作例をひとつ。
夕暮れ時に、湖面に波紋を立てる鴨。
波紋の形状がなだらかに艶かしく描画できています。この手の画はLimitedレンズの得意とするところでしょう。

20-40Lim 作例 05
作例5: 40mm F4.0 ISO1600

このブログを普段から見てくれている方々には最も参考になるであろう、1/3スケールのドールを撮影した場合の作例です。
こちらはテレ端で撮影しました。

20-40Lim 作例 06
作例6: 20mm F2.8 ISO1600

こちらはワイド端でパースが強調された画です。
1/3ドールならば、ワイド端でもバストアップくらいまで寄れます。

20-40Lim 作例 07
作例7: 40mm F4.0 ISO100

続きましてはスケールフィギュアです。今回の作例は、コトブキヤ秋葉原館のショーケース内に展示されているフィギュアを撮影したものです。こちらの作品は「ぴーす★きーぱー」のデイジーです。1/6スケールですので大きめサイズですね。
円形絞りですので、光点が綺麗な丸になっているのもご覧ください。

20-40Lim 作例 07 等倍
作例7原寸: 40mm F4.0 ISO100

作例7の顔のあたりをトリミングした原寸画像です。
いけませんね、このような画像を注視していたら、フィギュアの物欲ゲージまでもが上がってきてしまいます。
コトブキヤ製品でTony氏絵の立体化作品で1/6スケールサイズとなれば、約束された勝利のフィギュアになる事は確定的に明らかですので、もう発売までに期待が膨らむばかりです。

20-40Lim 作例 08
作例8: 40mm F4.0 ISO100

レンズの評価用としては特に必要はないでしょうが、このアングルも掲載しなければならない予感がしたので。
うん、これは良いモノだ。

20-40Lim 作例 09
作例9: 20mm F2.8 ISO100

こちらはキューポッシュシリーズの特別ディスプレイ。
クリスマスシーズンの到来とあって、プレゼント箱やケーキ(タルト)などを使った、楽しくて華やかなディスプレイになっていました。

20-40Lim 作例 09 等倍
作例9原寸: 20mm F2.8 ISO100

変猫の月子ちゃん。このプレゼントは祝いではなく呪いなんじゃないかと不安が頭をよぎりますが、月子ちゃんからのプレゼントを受け取らない選択肢などあり得ませんので、毒を食らわば皿まで精神で行きたいと思います。
肝心の写真としての解説は、後ろに写っているマミさんのボケ方でしょうか。マミさんはボケ役が似合うと思います。(何の話でしょうね)

20-40Lim 作例 10
作例10: 20mm F3.2 ISO200

ディティールが確認しやすい被写体として、ZOIDのシャドーフォックスのプラキットを一枚。
こちらの絞りは開放から一段だけ絞っていますが、近接しての撮影のためフォーカス域はかなり狭いです。

20-40Lim 作例 10 等倍
作例10実寸: 20mm F3.2 ISO200

フォーカスしている部分はパキッと解像しています。ズームレンズですが像がズレてぼやけることもなく、収差が抑えられているのがわかります。

20-40Lim 作例 11
作例11: 20mm F2.8 ISO1600

作例の〆として、メシテロ画像の撮影をする用途で検討している人向けの写真です。
こちらは「天芳」の「特製天丼」ですよ。

20-40Lim 作例 12
作例12: 40mm F4.0 ISO1600

テレ端を使えば、テレマクロっぽく撮影できますから、訴求力(垂涎誘発力)の高いメシ画像が撮れます。
ここまで撮れるのならば、やはりスナップショット用としては万能と言って差し支えない気がします。


以下、12月19日追加

20-40Lim 作例 17
作例13: 20mm F5.6 ISO100

所変わって秋葉原。
ワイド端の20mmは街の風景を全体的に収めるのに使い勝手が良いので、このような画が安定して撮れるのは心強いです。記録写真(記念写真)を撮るのに向いているレンズとも言えそうです。

20-40Lim 作例 19
作例14: 20mm F5.6 ISO100

一車線の狭い通りの撮影はどうでしょう。
20mmの画角は、それほど距離が置けない場所からでも広範囲を写し込めるので、通りの狭さを感じさせない画にすることもできます。

20-40Lim 作例 21
作例15: 20mm F11 ISO100

絞り開放に近い写真ばかりでしたので、ここで一枚、絞り込んだ画像もひとつ。近距離の看板から遠距離の雲までを捉えています。
いずれもしっかりと解像できていますね。

20-40Lim 作例 20
作例16: 20mm F11 ISO100

さらに近距離にフォーカスを合わせた画です。撮影日は強風によりイチョウの葉が大量に樹から落とされていたので、見応えのある画が撮れました。
20-40Lim 作例 18
作例17: 20mm F5.6 ISO100

こちらは、ワイド端20mmで手前の被写体(イチョウの葉)へ最短撮影距離で近づきつつ、背景がどれだけなだらかにボケるのかを検証する画です。
作例2と設定条件が近いですが、こちらはF5.6まで絞り、ある程度は背景のディティールを残しています。

20-40Lim 作例 16
作例18: 20mm F5.6 ISO100

こちらは逆光のテスト。
最新のHDコーティングを採用しているレンズでもあり、逆光耐性も優秀です。これなら安心して「逆光は勝利」と言うことが出来ますね。

20-40Lim 作例 15
作例19: 20mm F2.8 ISO100

ここからは夜景です。
ワイド端ではF2.8と明るいので、夜景も手持ちで何とかなります。この写真はISO感度を100にしたので1/2秒掛かっていますが、ISO1600を許容できるのであればシーンを問わずに手持ち撮影が可能です。

20-40Lim 作例 13
作例20: 20mm F2.8 ISO100

光点ボケのチェックその1。時期的にイルミネーションがあるので、ちょうど良いサンプルが出来ました。

20-40Lim 作例 14
作例21: 40mm F4.0 ISO100

光点ボケのチェックその2。さらにフォーカスを外して、光点を大きくして全面に入れました。
口径食はそれなりに出てますね。

20-40Lim 作例 22
作例22: 31mm F8.0 ISO100

最後に長時間露光の画を。

以上で作例の紹介を終わります。レンズの特性は伝えきれていないでしょうが、少しでも参考になればと思います。

まだ使い始めたばかりなので、特性は捉えきれていませんが、倍率の小ささを感じさせないほどに汎用性が高く、高品位な画を出してくれるレンズであると思えます。これから街角スナップショットがますます楽しくなりそうです。