東方Projectの関連作品をレビューする上で気を付けなければならないのは、二次創作のネタを公式設定であるかのように書いてしまうことです。
最も二次創作の数が多いと思われる作品ですから、二次創作が発祥の設定が人気を博して定着し、多くのファンの支持を受けてデファクト・スタンダードになっているようなものが随所に見受けられるので、良く見掛けるから公式設定だろうと思って使ったら原理主義者から批判を受ける結果になりかねません。
おお、こわいこわい。

ですがワタクシ個人としては、幅広く応用が利くだけの奥の深さはもちろんのこと、二次創作を受け入れる懐の深さが東方Project関連作品の魅力を押し上げていると思っています。作品性を捻じ曲げたり、貶めたりするのは避けなければなりませんが、作品の世界観やキャラクターに親しみや愛を感じさせるアレンジは、たとえそれが個人の理想や観点とズレが生じる内容であったとしても、否定的意見をぶつけるのは建設的では無いと思います。受け入れることは出来ないとしても、そんな楽しみ方もあるのだと幅広い観点に感心するくらいの気持ちで接した方が、より広く深く、この作品群を楽しむことが出来るのではないでしょうか。

「そーなのかー」

敢えて言うほどのことではありませんでしたので、軽く返されてしまいました。

今回ご紹介するのは、そんな「愛のある大胆なアレンジ」が結実し、新たな世界観すら構築しているかのように思えるフィギュアです。
ワンフェスのワンダーショウケースにも選ばれた作品のPVC版となりますので、作品としては既にご存知の方が多いかと思いますので敢えて語ることはないでしょうが、量産品としても大変意欲的な作品になっておりますので、ご存じの方もぜひご覧頂ければと思います。

オーキッドシード フランちゃん 00
メーカー(販売元)オーキッドシード
原型制作もえのり(glemo
スケールNonスケール (1/12スケール程度)
パッケージサイズ20(W) x 12(D) x 19(H) cm


まずはパッケージを2方向から。

オーキッドシード フランちゃん パッケージ1

オーキッドシード フランちゃん パッケージ2

この作品は、期待はしていたもののその造形の特性から、メーカーがPVC製で量産するような事は無いだろうと思っていましたが、それが現実になった上に、東方Project系フィギュアがオーキッドシード社から出てくるという点が個人的にかなり驚きました。以前からフィギュア本体のみならず、細かいパーツの精度にも高い技術力を見せてくれていたオーキッドシード社だけに、なるほどこの作品が量産化できるとしたら確かにこのメーカーが有力候補になるだろうとは感じましたが、東方Project作品系は初ですし、ディーラー作品のPVC化も印象にないメーカーだっただけに全くの想定外でした。
ともあれ、この作品をPVCで量産するチャレンジ精神に大きな拍手を送りたいと思います。そしてなにより個人的にこの作品をPVC完成品として手にすることができた喜びが大きいです。本当にありがとうございました。
パッケージサイズは意外と小さいです。Nonスケールとはなっていますが、その情報量からは想像できないスケール(目測で1/12スケール程度)ですので、見た目以上に小さく収まっていると言ってもいいかもしれません。
パッケージ背面に「1/7スケール」と記載されているのは誤植でしょうが、情報量だけ見るとそう勘違いしてしまいそうなほど細かい仕事で作られていますので、いっそのこと1/7スケール作品として鑑賞するのも良いかもしれません。


フィギュア本体を8方向から。

オーキッドシード フランちゃん 回転1

オーキッドシード フランちゃん 回転2

オーキッドシード フランちゃん 回転3

オーキッドシード フランちゃん 回転4

オーキッドシード フランちゃん 回転5

オーキッドシード フランちゃん 回転6

オーキッドシード フランちゃん 回転7

オーキッドシード フランちゃん 回転8

いやホント、つくづく「よくこの作品をPVC完成品として市販する決断が出来たなぁ」と感じてしまう仕様です。
実はこの8アングルを撮る間に、台座から20回は落下させてしまいました。見るからに羽の部分が破損しなかったのが幸いでした。PVCの強度に助けられたようなものです。もちろん過信してはなりませんが。
透明なバーの上に腰掛け部分が作られていて、そこへフィギュア本体の尻を置く形で設置するのですが、固定用のダボなどはなく、接地面積も狭く、平らですら無いので、かろうじて引っかかっていると言えるような状態です。とてもこのまま飾って放置する気にはなりません。フィギュア本体に穴を開けずに形状を確保した心意気は汲みたいところですが、せめて固定するための工夫を盛り込んで欲しかったところです。
汚くなってしまうでしょうが、粘着性のあるガムのようなもので仮止めをしておくのが良いかもしれませんね。台座に針金を垂直に埋めてダボの代わりにするのもありです。フランちゃんのお尻に穴を開けるプレイも楽しめますし。いやそれは間違った楽しみ方ですね。
そんな仕様上の問題点はありますが、製品化して再現性の高い量産品に調整した技術と努力には賛辞を送りたいと思います。


ポイントごとに見て行きましょう。
オーキッドシード フランちゃん 01

正面からの顔。
改めて、およそ1/12スケールであることを記しておきます。figmaシリーズと同じくらいのサイズです。それを前提に考えると、この緻密な造形に違和感すら覚えるでしょう。スケール感を狂わせるほどの作りこみです。それがPVCでほぼ再現出来ているのだから凄いことです。
くりっとした目がとても可愛らしいアイプリントに仕上がっており、いたずらっぽい性格も垣間見える、作っている人がキャラクターの特性を良く理解しているなぁと感じる表情に仕上がっていますね。
このサイズで耳の形も作り込まれているのがまた凄いです。

オーキッドシード フランちゃん 02

左側面からの顔。
口に咥えられたドーナツは、横から見ると咥えているようには見えないのですが、この小さなドーナツを咥えているような形に削るのは量産品として掛けられる手間を超えているようにも感じますので、オミットされた要素なのかもしれません。
髪とリボンが表情豊かにうねっているのが、このアングルからの見所でしょう。

オーキッドシード フランちゃん 03

右側面からの顔。
左側と比べて対照的なまでに大人しくシンプルな見た目です。左右で大きく印象を変えることで、違った表情を見せているようにも感じられますね。

オーキッドシード フランちゃん 04

頭上から。
いわゆる「ZUN帽」を被っているのですが、波打つように仕上げられたその形状は、素材の硬さを感じさせないほど柔らかく見せてくれています。

オーキッドシード フランちゃん 05

ZUN帽を取り払った状態。
頭頂部から髪の束が示された造形は珍しいですね。帽子の裏にはこの髪の形状に沿った凹みがあるので、帽子の固定にも一役買っているようです。

オーキッドシード フランちゃん 06

特徴的なのはこのテール部分。
フランちゃんがサイドテールであると見て取れない二次創作絵も多い中で、これだけサイドテールが大きく主張されている作品は珍しいでしょう。ワタクシはこの作品を見て、サイドテールの髪型であることを思い出しました。
その単体の生き物であるかのようにうねった形状からは、可愛らしい容姿とは裏腹の、秘めたる狂気を感じさせるような気がします。フランちゃんは幼さと狂気がキーワードのキャラクターですので、そう捉えるのが良いのではないでしょうか。

オーキッドシード フランちゃん 07

背中側には大きな赤いリボンが目にも鮮やかにその存在を主張しています。
女の子の可愛らしさを引き立てると共に、血の色を想起させられるその濃い赤色は、吸血鬼であるフランちゃんの素性を表しているかのようでもあります。

オーキッドシード フランちゃん 08

帽子とサイドテールを結んだリボンをアップで。
ボリューム豊かに作られていて、その小柄な身体とのアンバランスさが際立ちます。

オーキッドシード フランちゃん 09

再び背後から。今度はアングルを水平にして。
ボブカットのような後ろ髪に、波打つリボンとスカートのフリル。どれも表現豊かに形作られています。

オーキッドシード フランちゃん 10

フランちゃんのフィギュアでは見逃せないポイントが、この虹色に輝く羽根のオブジェ。
基本は菱型の形状ですが、こちらの作品では星形にアレンジされています。魔法少女感が高まっていますね。素性は吸血鬼ですけど。いや、スペルカードとかどう見ても魔法ですが。

オーキッドシード フランちゃん 11

右側の羽根はこのように。
ひとつスターではなくクレセントムーンがあるのがいいですね。ドーナツだけじゃなくクロワッサンまで、ってのは飛躍しすぎですが、吸血鬼に月は良く似合います。

オーキッドシード フランちゃん 12

身体の側面やや下から覗き込むアングルから。
腰にコルセットがあるのは全くイメージになかったのですが、お嬢様キャラなので似合ってる気がします。
でも個人的にはヘソチラを見たかったですね。ええ、おヘソをですね。

オーキッドシード フランちゃん 13

両手はクロスして、今にもスペルカードが発動しそうなポーズに。
小さくて丸みのある指が可愛らしいですね。

オーキッドシード フランちゃん 14

アングルを変えて右掌を。
ただ平らなのではなく、ちょっと窪んでいるのがステキです。
さすがにこのサイズですから爪造形までは望めませんが、このようなディティールアップが施されているのは嬉しいですね。

オーキッドシード フランちゃん 15

脚は華奢ながらも、ふくらはぎの丸みは看過できません。触ってぷにぷにしたくなる柔らかさが想像できる形状です。
靴も童話に出てくる女の子のような、つま先のボリュームが大きな形状でファンシーな印象です。
ロリでポップなロリポップ、との単語が頭をよぎりました。

オーキッドシード フランちゃん 16

靴底はつま先側も踵側のように平坦になってる面白い形状。ロリでポップです。(実に適当な表現)
フランちゃん本体を固定する、バーの上の台座はこのサイズ。とても小さいです。いちおうこの部分だけではなく、曲げられた黒い棒の2点にも当たっているため、合計して3点で支える形にはなっているのですが、こちらの黒い湾曲した棒(針金)が容易に曲がり、調整しながら乗せてもフィギュアの重さでバランスがすぐに崩れるため、固定にはなかなか至りません。ちょっとずつ曲げながら微調整していくしかありません。あまり頻繁に調整すると折れてしまいそうで怖いです。難しいですね。

オーキッドシード フランちゃん 17

お尻から脚にかけて。
東方Projectのキャラでは定番の、かぼちゃパンツなお召し物。いわゆるドロワーズですね。
冒頭でも書いたとおり、ダボ穴などは用意されていないため、台座との固定はこの尻の形状に合わせて置くだけになります。これがなかなか難儀します。

オーキッドシード フランちゃん 18

台座の一部にはマカロンが。
そのマカロンの上に、特徴的な悪魔の尻尾のような棒の先端が乗っかっています。
ベースの台座は透明な円形の至ってシンプルなもので、こちらにマカロンを固定するダボと、フィギュア本体を固定するためのバーが挿さる穴が付いています。

オーキッドシード フランちゃん 19

台座のパーツを個別に。
黒い針金は簡単に曲がりますし、その途中にフィギュア本体を座らせるための座面がスライドできる状態で装着されているので、設置するまでに入念な調整を要します。少しでも曲げが歪んでいるだけでフィギュア本体が転げ落ちてしまいますので、手で支えながらバランスにズレが無いかを感覚でチェックしてから、少しずつ調整していきます。とても精神が擦り減らされる作業になってしまいます。場合によっては接着剤による固定も選択肢に入れておくのが良いかもしれません。フィギュアが壊れてからでは遅いので。

オーキッドシード フランちゃん 20

マカロンとドーナツ。
口に咥えられていたのと同じサイズのドーナツが他にも3個付属されています。こちらは固定するようにはなっていないので、赴くままに自由に配置しましょう。
マカロンもドーナツも、小さいながら良く出来てるなぁと感心します。

オーキッドシード フランちゃん 21

付属されている顔パーツと前髪部分。
前髪を取り外して、顔パーツを差し替える方式ですので、ここもfigmaなどと似ていますね。
ドーナツを咥えている顔パーツの他に、アイプリントの描き方が異なる2つの顔パーツが付いています。好みで差し替えましょう。

オーキッドシード フランちゃん 22

この作品では上でも書いたように、設置するのにかなり微妙で慎重な作業を有しますので、付属の説明書を良く読むのを強く推奨します。
なお、この説明書内でも「フランちゃん」と呼称されている点が愛を感じます。

オーキッドシード フランちゃん パッケージ3

引き合いに出していたfigmaとパッケージ比較してみました。せっかくなので同じ東方Projectのキャラクターである伊吹萃香のfigmaを用意してみました。ほぼサイズに差がないのが分かると思います。

オーキッドシード フランちゃん 23

せっかくなので強引に絡めてみました。
横に並べると、1/12スケールとされているfigmaよりもさらに小さいようです。1/13から1/14スケールとするべきなのかもしれません。このサイズにこの作り込み。益々驚きが大きくなりました。

オーキッドシード フランちゃん 24

以上、オーキッドシードのフランちゃんでした。