フィギュアレビューの更新ペースが月イチ程度になり、発売後直後の作成および公開も出来なくなりつつありますが、そんな状況ながらこのブログをご覧頂いている皆様には感謝申し上げます。
今回紹介する作品は、発売から1ヶ月近く経っていますが、1ヶ月も経っていると思うか、1ヶ月しか経っていないと思うかは人それぞれと思います。
一方、この作品は実に9年以上前のアニメのキャラクターを扱ったものになります。9年という時間と比較すれば、1ヶ月程度の期間は実に僅かで些細なものです。
とまあ、問題を逸らす詐欺を働くような事を言ってしまいましたが、このアニメ放映から9年という年月を経てフィギュア作品化された事実については、とても可能性を期待してしまいます。なにしろ、当時はまだPVC完成品フィギュアはほとんど出回ることのない時代で、今よりもずっと個人が購入して楽しむにはハードルが高かった時代です。お気に入りのキャラクターのフィギュアを入手出来る機会はとても少なかった事でしょう。こちらの作品が商品化されたことによって、同時代の作品のフィギュアがリリースされる契機になってくれれば、と願います。
現在のフィギュア業界の傾向と、対象となるアニメの多作ぶりかつ消費の早さを見ると、望みは極めて薄いと判断する他無いのですが、細々とでも出てくれるといいですね。
まあそのカテゴリで奮闘してくれているのは、WAVEのトレジャーフィギュアコレクションとか、シーエムズのグッとくるフィギュアコレクションなんかがあるんですが。消耗の激しい現行作品では売上が見込めるものの冷え込みも早く値引き合戦になりやすく販売する側の消耗も激しいのですが、一昔前の作品であれば決して大きくはないものの比較的安定した需要が望めて購買力の高い世代がターゲットになって値引き合戦に巻き込まれにくく長期的な販売が見込めるというメリットがあります。ということで、各メーカーには過去作からフィギュア化の要望を引きずり出して商品化するビジネスの推進を願います。市場が熟成して消耗戦になっている今こそ、足回りを強化してラインナップを拡充し、確かな購買力に期待できるオールドファンも引きこむ戦略を立てようではありませんか。

などと声高らかに宣言するフリをすることによって、放置グセの発露をけむにまきました。
レビューを見に来ている人にとっては楽しくもなんともない眉唾理論を展開するのはさておいて、肝心の作品のレビューに行きましょうか。

ALTER ALVIS LAVIE 00
前置きが本題から逸れまくっていたので、さっそく作品の核心を突く内容から。
作品の元絵は、ご覧の通りLAST EXILEキャラクターデザイン担当の村田蓮爾氏のアニメーションワークス画集「PRISMTONE」の表紙絵です。村田蓮爾氏の絵は、豪血寺一族のお種&お梅のBBAどもが、某バルス映画のドーラもかくやという少女時代の美少女ぶりに度肝を抜かされて以来のファンであり、子供ながらに老いて歳を重ねる怖さをしみじみと味わったものです。いやそれは言葉にしてみるとどちらかというとマイナスの印象だったような気がしないでもなく。
でも、氏の全体的に渋いテイストと繊細なタッチのキャラクター達に混じって、くりくりとした瞳の美少女が混じるギャップが実に萌えゲージを引き上げる役割を果たし、違和感を超越した統一感を獲得した作風に感動を覚えたものです。
こちらの作品については氏の描く美少女キャラクターの特徴を汲み取りつつ、数多く出回っている美少女フィギュアと揃えても違和感のない無難な仕上がりに落とし込んでいるように思います。上の写真内で比較して見ても、忠実に再現されている事は感じ取れるでしょう。
いや、個人的に満足の行くフィーリングは得ていませんが。

メーカー(販売元)アルター
原型制作岩元 邦仁
スケール1/8スケール
パッケージサイズ17(W) x 16(D) x 20(H) cm

サイズは1/8スケールとなっていますが、2体が座って並んだその姿を見るとそれよりも小ぶりに見えます。
パッケージは立方体に近いブロック型で、銀色をベースにした表面の質感もあいまって硬質な印象を受けます。
では、そのパッケージを見て行きましょう。

ALTER ALVIS LAVIE パッケージ1

ALTER ALVIS LAVIE パッケージ2

表面に等間隔で作られたディンプルと、側面に連なった丸い窓は、作中に出てくるヴァンシップ(飛行艇)の機体や、戦艦の窓をモチーフにしたデザインなのでしょう。作風としてはスチームパンク系ですので、その印象を良く表したデザインになっているように思います。シンプルイズベストで無駄のない機能美的な美的感覚とでも言いましょうか。さすがに空力特性なんかまでは望めませんが。
側面にも写真や大きなロゴが配されているパッケージの作品が多い中、裏面に一枚の写真があるだけで側面のロゴもさりげなく、作風を理解して主張し過ぎないデザインに落とし込んでいるのは好感が持てます。ファンによりファンのためのデザインという印象で、よくわかっていらっしゃるなと思う次第です。


続きまして8方向からの写真をどうぞ。

ALTER ALVIS LAVIE 回転1

ALTER ALVIS LAVIE 回転2

ALTER ALVIS LAVIE 回転3

ALTER ALVIS LAVIE 回転4

ALTER ALVIS LAVIE 回転5

ALTER ALVIS LAVIE 回転6

ALTER ALVIS LAVIE 回転7

ALTER ALVIS LAVIE 回転8

どの角度から見ても見所や見ごたえがある、とても丁寧な作り込みにはアルター作品の真髄が感じ取れます。
特に、そのメカニックな嗜好を刺激するデザインのソファーが、背後までリアリティのある作りになっていて、元絵からでは想像に任せるしかなかった部分まで立体作品として新たに情報を得られる喜びを得られます。
サンプル写真は元絵の通りに、2人が肩を触れさせて仲良く並んで座っている姿を写していますので、ここでは敢えて少し間を空けて撮ってみました。ソファーはもちろん、アルヴィス、ラヴィの2名は完全に独立したフィギュアとなっていて、固定するためのパーツなどもなくただ座るように置かれているだけなので、自由に位置を動かすことができますし、一人だけ飾っておくことなども出来ます。それがファンの心理として良い事なのかどうかは別にして。


それではスポット紹介へ。

ALTER ALVIS LAVIE 01

正面からの顔。
この作品にとって最も評価が厳しくなりそうなのがこの顔です。
美少女フィギュアが評価されるその多くの要素は顔の出来であり、特に商業作品では「元絵との近似」が最も重視され、良し悪しがそこだけで判断されてしまいかねないほどに厳しいチェックを受けます。正直、他の出来が素晴らしくても、顔が元絵に似ていなかったり、サンプル(デコマス)から変化(劣化)しただけで粗悪品のレッテルを貼られてしまう事態を多く見てきました。
この作品に於いても、その逃れられない評価の対象になる事でしょう。
アイプリントの仕上がりは悪くないですし、わずかながらバランスに乱れはあるものの、かなり忠実に再現されていると思います。クオリティは決して劣ってはいないように思えます。
しかし結果として元絵との違和感があるように見えてしまうのが実に惜しいところ。元絵やサンプルと比べて、どこがどう変わったかをハッキリと指摘できない程度しか変化が無いのに明らかなる違和感を受けてしまう事実。キャラクターの顔は命であるとともに、とてつもなくデリケートな物であると実感せずにいられません。
いやほんと、数値では指し示せない感性に基づいて作成されるデザインを、数値でのみ共通理解が可能な工業製品に持ち込んで再現性を求める難しさを第三者の立場ながらに想像してしまいます。
いやでも、どれだけ難しかろうと完全に近い再現という結果が伴わなかった時点で消費者にとっては価値無しと断定されてしまいかねない製品であるのがこの美少女フィギュアという製品の特性である以上、作るからには全てのの工程で全てのノウハウを投入して一切の妥協を許さない結果を導き出す必要があります。現場の担当者のノウハウと意識の高さが問われる所ですね。材料となる原油の価格が高騰し、コストカットが一層求められている現場の担当者は四苦八苦している事でしょう。ですがその苦労も結果としてベストなアウトプットに結びつかなかったら製品としての価値を下げてしまい報われなくなってしまいます。何とも悲しい現実です。
いやまあそんな現実的なハナシはレビューとしては蛇足なのでこのぐらいにして。
結論としては、なんだかんだで顔の再現性を重視している消費者の一人であるワタクシとしては評価を下げざるを得ませんでした。4000円近い画集を買うぐらいには好きな絵であるため、どうしても許容できませんでした。
いや他の部分は、ゴーグルにしても髪の処理にしても精度が高く作られていて文句の付けようがないレベルなんですけどね。実にもったいないです。

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ダメ出しした後で何ですが、それぞれの側面からの顔も。
側面からは違和感をそれほど感じず、良く出来ていると思うだけになおさら正面がビシッと決まっていないのがもったいないなと感じます。
特に、アルヴィスの丸くて可愛らしい耳の形やラヴィの首筋から鎖骨にかけての形状なんかは元絵からは楽しめないプラスアルファの魅力として大いに評価できます。
下着のようなワンピースを着ているために凝った形状はそれほど楽しめませんが、少女特有の丸みのある四肢や部位が楽しめるのは大歓迎です。

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アルヴィスの胸には鹿をモチーフにしたようなぬいぐるみが抱かれています。
元は、隣にいるラヴィの物であったことはアニメ視聴者にはご存知の事かと思います。
大変に可愛らしく、良く再現されていると思います。
出来る事なら、ぬいぐるみを押し付けて隠しているかのようなその胸の膨らみ具合を見てみたいものですが、そもそもそこには膨らみという概念が存在するかどうかは怪しいので気にしない事にしましょう。

ALTER ALVIS LAVIE 08

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年齢はアルヴィスより上と思われるラヴィですら、胸の膨らみという概念は捨て去られているように思えるのですから、この作品では最初から胸の膨らみ成分を求めるのは筋違いなのです。
代わりと言ってはなんですが、まだ幼さの多分に残るなだらかなフォルムの四肢を楽しみましょう。
先にも書きましたが、ラヴィの首筋から鎖骨にかけての形状が想定外のエロス成分を与えてくれています。

ALTER ALVIS LAVIE 10

やや上からのアングルより。
アルヴィスの方が顔が小さく、さらにはラヴィが上半身を前に傾けているため、遠近法でさらに顔の大きさが違って見えるのが特徴のひとつ。
前髪ぱっつんキャラは村田蓮爾氏の描く少女の特色のひとつですから、ゴーグルも含めてラヴィの方が村田氏のキャラらしさに溢れています。それだけに、それらのパーツの再現度が確かなのは、顔がピンと来る出来でなかったとしてもファンとしてはしっかりと評価したいです。

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背後は元絵には存在しない情報なので、新たな発見があるのは嬉しい要素です。
キャミソールと思われる生地の薄そうな着衣には細かな皺が寄り、リアリティを押し上げています。シンプルな着衣だからこそ、この細やかな造形が大きく質感を左右します。正面から見るだけでは全ての評価は完了せず、これらも含めての評価となれば断然獲得ポイントは上がってきます。フィギュアを楽しむのに正面(いわゆる決めアングル)以外の角度からも眺めて色々と楽しみたい人にとっては評価が上がってくる作品となるでしょう。
そして見逃せないのは、背筋周りの形状です。着衣の少ない表面積のわりには、正面からは感じ取りにくいエロティックな香りが首から背筋にかけて広く開けられた箇所から匂い立つようです。すごく、背筋に指を這わせたくなります。
その有機的な丸みを帯びたなだらかな凹凸とは対照的に、その背にあるソファーの裏地は無機質で、いかにも鋼鉄製っぽいデザインと質感になっているのがまた雰囲気が出ていて良いですね。

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寄り添う姿を背後から。
仲睦まじくて素敵です。

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ソファーを転げて、座る位置を逆にしてみました。
途端に黄昏れてる印象になって来ました。これはこれで情緒がある光景ですが、このような姿を晒す状況にはなってほしくないですね。

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ノーコメント。
というか、アルヴィスの防御力が皆無に等しくてお兄さんは喜びを超越してもはや悲しいです。

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ブーツも仕上がりが良い感じです。
恰好が恰好だけに、靴下は履いていないんじゃないかと思えますし、ブーツの中はムレムレなんじゃないかと想像してしまいます。脱ぎたてをクンカクンカしたいものですね。

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ソファーの足回り。
後ろ側はリアル金属のバーで作られていて、細いながらも安心感があります。
前方はラウンドフォルム、後方へはエッジが立つデザインにはセクシーさすら感じます。
美少女フィギュアファンのみならず、メカ造形のファンにも心躍らせる要素を含む作品になっています。

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期待してる人もいるでしょうから、下からのアングルも。
当然の事ながら尻や太股は平坦に潰れていて興醒めですが、靴底が妙にしっかり作りこまれているので一見の価値は有りです。

ALTER ALVIS LAVIE 19

せっかく1体ずつが独立した座りポーズの作品なので、色んな物に座らせてみました。他社製品ですが。

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こういう使い方もありますね、って事で「フィギュアをカップ麺の蓋を押さえるのに使う」利用法も提案してみたり。最近ガレキではこのような使い方を前提として制作された可愛らしいデザインのフィギュアを良く見かけるようになってきたので、今後も蓋押さえフィギュアが増えていくのに期待です。
これとは別に、テーブルの隅や棚の上にさりげなく座らせておくのもインテリアとして馴染んだりするかもと思ったり。さすがに最近はやりのイヤフォンジャックアクセサリーのようにiPhoneに座らせる訳にはいかないでしょうが。

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最後に、冒頭で紹介した画集の末尾に用意されたページに掲載された、関連フィギュアの数々を。
これらはアルター社の初期の頃の作品であり、今では扱われていないトレフィグのカテゴリに属するフィギュア作品です。それだけLAST EXILEはアルター社にとっては特別な作品なのだろうと思います。
それだけに、こうして9年もの時が経った今となって、こうして同作品のフィギュアがリリースされる機会が導かれたのでしょう。
――直近に放映されていた新作のキャラクターがフィギュア化される様子など微塵も見せないまま。
せめてメインヒロインの一人であるタチアナぐらいは同スケールでフィギュア化してほしいものですけどね。