えるたその眼前で大きく成長したしいたけ。

冒頭からホータローの妄想炸裂必至の話題にて開始した、きのこむくむく回。
もちろん、このコメントそのものが妄想炸裂しているだけなので、清純派のえるたそが大好きなファンの皆様はご安心ください。そんなみなさんの代わりに薄い本を楽しませて頂きます。

この回は、単行本に未収録の雑誌掲載短編。文芸雑誌を購入する習慣がない上、掲載当時はこの作品の存在を認知していなかったワタクシとしては、目にする機会がないまま今回のアニメ化による初見と相成ったのです。
内心では、今までの感想記事が原作を踏まえて書いているので、それが行えない手前、どのように書いたものかと、わたし、気にかかります。
まあそんな落ち着かない気持ちで、頭の片隅でキノコ狩りの男がスタイリッシュなアクションを決めている妄想が蠢いているから、里志が「編隊」の言葉を発した時に「変態」と聞いてビクビクしてしまったワケですが。
いえ、決して聞き齧ったばかりの豆知識を鵜呑みにして、自前のキノコに電気ショックを加えてムクムクと成長するのを楽しむ変態プレイをしていたからビクンビクンッとしたのではありません。
強い電流の刺激を受けて、危機感を抱いたキノコ(隠語)の○子が子孫を残すために活発に……ってそんな事したらED化必至です。決して真似してはいけませんよ。

などと、いくら原作の知識に頼ることができないからって、変態トークでお茶を濁していたら、せっかくいつもやってるフィギュアレビューの変態トークに免疫がない、新規に獲得した純真無垢なアニメファンの読者を幻滅させてしまうのでこのぐらいにしておきます。
――あ、とっくにバレてましたか。はい、お察しの通りです。

さて今回のテーマは北アルプスネタ。舞台は高山市ですから神垣内連峰とやらは穂高連峰を指しているのでしょうが、神垣内とはいわゆる上高地の元の名らしいですね。リアルに即した名称です。
直前のお盆休みには、氷菓の舞台である高山市と、現在のアニメ聖地探訪ブームを発生させた元祖とされる「おねがいシリーズ」の主な舞台である木崎湖がある大町市を巡る予定だったのですが、手前の事情で頓挫しました。いや木崎湖には行ったのですが、野麦峠を越えて戻ってくる余裕がありませんでしたので。そもそもヘボい軽自動車の馬力で山越えは心配だったのですがね。
いやまあ、清里ラインは完走できたので、いつかはチャレンジしてみたいです。

話もルートも逸れましたが、今回は山の話。原作を知らないだけでなく、山の知識にもあまり詳しくないので今回はとっても不利な回です。焼津の港で水揚げされたばかりの海産物で育まれた身には、波浪や川の増水には馴染みがあるものの、山の天気は変わりやすいと話にこそ聞くものの、体感として身に付いてはおりません。
山を駆け上がった湿った風が上昇気流を伴って発達した雲が積乱雲となって雷が発生するとかそういう気象のメカニズムはよくわかりませんが、雷が発生するのは夏のイメージですので、山では5月にも良く発生するのかと思うと、どのシーズンも油断ならないなぁと思いました。上高地の辺りの山のように軽く1000mを超え、最高地点は3000mにも至るほどの標高の山々ともなると、冬のシーズンは雪に阻まれ、春には雪崩の危険もあったりで、人が踏み入るには厳しい環境であることは承知していますが、登山シーズンでも天候が変わりやすい上に、空気が薄く高山病の危険も伴ったりで、登山家たちにとっては物理的な装備ばかりではなく、平地での常識が山では通用しない事を肝に銘じる予備知識の重要性も山の素人ながら感じ取ることができます。
つまり、登山道で見つけた高山植物が珍しくて、いったいこれはどんな名前の植物なのかと「わたし、気になります!」と言われて調べようと時間を掛けていたら雲行きが怪しくなってきて雷に打たれてしまうので、あまり物珍しさに好奇心を掻き立てられて本来のタイムスケジュールを蔑ろにして下山が遅れるのは危険という事で、千反田さんとハイキングすべきではないという教訓を伝えようとしている回なのですね。いやもちろん違います。

ワタクシだったら、お花を摘みに行った千反田さんをコッソリと追いかけるイベントを発生させますね。その結果、雷に打たれるのであれば悔いはありません。

ところで、ホータローと千反田さんの図書館でのトークの中に安芸の宮島が話題に上がっていましたが、千反田さんが宮島に行ったら鹿せんべいを買いまくって鹿に集られてあたふたする様子や、お米をよそうのにちょうど良さそうだと大きめのしゃもじをみやげに買っていくのが容易に想像できます。

さて今回の話の本筋に当たる件ですが、この作品は「人が死なない推理小説」とか「ミステリなのに血生臭くない」などと評される事が多いようですが、今回のように死亡事故が発端として扱われていたり、激しい闘争が繰り広げられた学生運動が題材として扱われたりと、リアル志向で間接的に人の死は伝えられています。人の死は安易に読者の感動につながるためフィクションでは安売りされがちですが、このようなリアルを追求した上での要素として用いられるとちょっと印象が変わってきますね。
単行本に収録されていないこのエピソードがアニメで使われた理由は、氷菓というアニメを見て、聖地探訪の一環として安易に上高地を訪れる、山の怖さを知らないアニメファンたちに警鐘を鳴らしておく役目がこの回にあったからだ、とは勘繰り過ぎでしょうか。

はい、お花を摘んでいる最中の千反田さんの姿が描かれた薄い本の登場に期待するだけにしておきます。

さて、そんな山に縁の深い、高い山々の麓に栄えた街に居を構える豪農一族である千反田さんの広大な家の敷地は、今回、俯瞰で見下ろした絵が出てきていました。
ですが、多くの皆さんは既に御存知かと思いますが、アニメで千反田家のモデルとして採用されたのは、高山市どころか岐阜でも長野でもなく、そもそも山の麓の街ですら無く、遠州灘に面した静岡の掛川市にある「加茂花菖蒲園」だというのですから、最初にその事実を聞いた時には驚きました。
まさか、実家からほど近い場所にそんな聖地が爆誕していたなんて……

ということで、お盆休みの帰省ついでに、片道一時間のドライブを楽しみながら行って来ました。

千反田家俯瞰
千反田家加茂荘

上の絵が今回の作中に登場した俯瞰の絵。青い丸で記しているのが下の写真に写っている、白壁の建物がとても美しい加茂荘の蔵と、夏らしい濃い木々の緑が強い陽射しを受けて鮮やかに色を成した周りの豊かな自然。
花菖蒲のシーズンは過ぎ、聖地探訪者たちも既に多くが訪れた後だからか、まるで貸切をしたかのように、この美しい景色を独り占めする気分を味わえました。
人が写り込む心配は無く、どれだけシャッターを押しても他の観光客に煙たがれる事もなかったので、自由気ままに写真を撮る事ができ、なかなか楽しく良い記念になりました。
ただし、どうせ近所だからと時間を気にすること無く、事前にきちんと確認すること無く気まぐれに立ち寄ったものですから、到着した頃は営業時間終了直前の15時40分でしたので、花菖蒲園のオフシーズンの姿を見る程度で聖地探訪は終了しました。何ともヘタレな結果です。

これだけ感想記事も書いて、思い入れもひとしおですから、いつかは高山市と共に再訪してみたいですね。
まあ再訪といっても、高山市には以前、白川郷に行く際に通りすぎた程度なのですが……今度訪れる際には、さるぼぼを買って帰りましょう。