今回は久々に、フィギュアやドールではなく、カメラ関連の記事を。いつも愛用しているペンタックスのカメラで、世界最小・最軽量を謳うレンズ交換式ミラーレスカメラ、いわゆるコンパクト一眼である「PENTAX Q」が発売されるとのことで、そのコンセプトや実力は一体どんなものだろうと興味があり、体験会へ参加してきました。

PENTAX Q 1
会場新宿タカシマヤ エントランス前
会期2011年7月9日、10日

2日連続で行われる、日本で始めて実機を触ってフィーリングや機能を確認できる場で、即ブース内のスタッフに質疑応答が行える体験イベント。ペンタックスは新しい一眼レフカメラが発表されるごとに同様の体験会を行っていますが、最近は東京の会場は秋葉原のUDXイベントホールが使われていたところ、今回はよりライトなユーザー層をターゲットにしていることもあってか、幅広い世代や性別を問わず多くの人が行き交う新宿の高島屋エントランス前のスペースが使われていました。
ビル内部ではないので当然空調は効いておらず、7月の暑い気温の中だったのですが、注目は高いようでかなりの人出があり、体験コーナーでは早速長い列が形成されていました。

PENTAX Q 2

一日目の9日は12時からの開催でしたが、いきなりその第一組に行っているぐらいには自分も興味が強い製品です。なにより、いつも意欲的で面白いアプローチの製品を出してきてつい後継機種を買ってしまっているペンタ党の自分としては今回の、同メーカーでは初の製品カテゴリながら、最小・最軽量を実現したという一眼ミラーレスカメラがどのようなコンセプトのもと、どのような実力を引っさげて用意されたのかがとても興味深いところでした。ペンタックスならただ最小・最軽量を求めるためだけにカメラとして期待される性質を疎かにして、ブームになっているミラーレス一眼のカテゴリに下手な後追いで参入してくることはないと信じたかったこともあります。
しかしながら、事前に見知っていたイメージセンサーサイズが一般的なコンパクトデジカメ並の1/2.3型というところに、一眼カメラの名を冠するだけの実力と魅力があるのだろうかと心配もしていました。

体験会を終えての個人的な結論を出すと、心配していた事は完全に払拭されたわけではないものの、一眼ミラーレスカメラのカテゴリに参入し、後発として他社のカメラに勝負を掛けるには充分な魅力を有したカメラに仕上げてきた印象です。人気が出て良く売れるかどうかは何とも言えず未知数ですが、人気を博するだけのポテンシャルと可能性は充分にあるでしょう。

PENTAX Q 4

まずは一番わかりやすいコンセプトで、キャッチコピーとして「世界最小・最軽量の一眼ミラーレスカメラ」とされているその本体サイズから。
判断しやすいかどうか微妙なところですが、体験コーナー脇に置かれていた色鉛筆と合わせて撮影してみました。
一般的なコンパクトデジカメと同等程度のサイズですので、レンズ交換式デジタルカメラとしては驚異的な小型サイズと言えるでしょう。キャッチコピーは伊達ではありません。
ですがやはり、それがイメージセンサのサイズをコンパクトデジカメ並にしたから結果そうなりましたというだけだったら、コンデジのレンズを交換式にして一眼を謳って、高価格機種として売る理由を作り、追加してレンズを別に買わせる嫌らしいビジネスモデルだと揶揄されかねません。
さて、一眼の名に恥じない実力と、期待に応えてくれるスペックは備わっているのでしょうか。

一眼クラスのカメラに求める所は人それぞれでしょうが、おおよそ下に挙げるようなポイントになると思います。

1. 画質
2. 魅力ある画づくりができる
3. ボケを意図的に使える
4. 高感度撮影時のノイズ耐性

これらについては捉え方によって被ってしまうところがありますが、1を大分類としつつ、特に3はイメージセンサーが小さくなったことにより犠牲になりやすい部分なので独立させました。
これらに対して、自分の実体験と質疑応答から感じ取ったペンタックスからの回答が以下のようになります。

1については、じっくりと評価する事までは出来ませんでしたが、さすがに小型高画素化の技術の進歩が著しいだけあり、そのセンサーサイズからは想像できないほどのクオリティーが高い画がアウトプットされていました。有効画素数1240万画素を、かなり使いこなせている印象でした。

2については、ペンタックスの一眼レフKシリーズの売りのひとつであり、魅力ある画作りをカメラ本体内で可能としている「カスタムイメージ」が当機種にも搭載されている事が挙げられます。この存在によって、ペンタックスの一眼カメラシリーズの一機種として列記できるだけの能力を有しているばかりか、最上位機種であるK-5(現在の自分の愛機でもあります)よりも増やしているという、最上位機種の優位性を追いやって出し惜しみせずに新機能を追加までしてくるのがペンタックスらしいですね。
追加されたカスタムイメージは、より華やかな印象に仕上げる「ポップチューン」と、K-5まではカスタムイメージではなく個別のメニュー機能として用意されていた「クロスプロセス」のカスタムイメージ内移行になります。実質1個だけの追加ですが、この一個である「ポップチューン」は、デジタル世代の画像に慣れ親しんだ人には馴染みやすい、強い発色傾向に出せるモードです。コントラストや色彩を強く出しがちなコンパクトデジカメからの移行者を意識したモードと思います。
また、新たに「スマートエフェクト」というモードも搭載し、フォトレタッチソフトでなければ出せないような大胆なエフェクト効果を発揮した写真を本体内で掛けることが出来るようになっています。このエフェクト類は本体前面、レンズ左脇にあるダイヤルに4つ登録しておくことができ、撮った写真に気に入っているエフェクトをクイックに掛けて、その変化を楽しみながら画作りを行っていくことが出来ます。コンピュータグラフィックス特有の世界観が自分の撮った写真で再現していく事ができるような面白い機能ですので、写真を撮る楽しさが撮ったその場で体験できる、素晴らしいアプローチの機能だと感じました。
2については申し分ない魅力を有したカメラとして登場したと言えるでしょう。

3については、やはりKシリーズのAPS-Cサイズのイメージセンサから比べてわずか4分の1程度のため、かなり狙って出すのは難しいと感じます。
しかしながら、まずはボケを大きく出すために必須の条件であるレンズの明るさ=F値の小ささが標準単焦点レンズでF1.9、標準ズームレンズでもワイド幅でF2.8、テレ端でF4.5となかなか頑張っていて、条件によってはある程度のボケを狙うこともできます。
それでは物足りないと感じる人には、デジタル処理でボケ味を増感できる「ボケコントロール」という機能が用意されています。これにより、一眼カメラの大きなメリットとされているボケを表現として使った画も作っていくことが出来ます。さすがにレンズ本来のボケに比べれば画の精度は一歩譲ってしまうところはあるでしょうが、こうした画作りが行えるようにちゃんと期待に応える機能を載せてくるあたりはさすが抜かりないなと感じました。

4については、ここ最近のペンタックスカメラで顕著となっている強みであり、このサイズで一眼ミラーレス機の開発に踏み切れた要因のひとつが高感度でのノイズ耐性が強くなった事だと、体験会の説明員さんもおっしゃっていました。
特に、画質が損なわれたように見えやすいカラーノイズが非常に抑えられていることが特長で、実際にISO1600というコンパクトデジカメとしたら厳しいレベルの高感度撮影においても、等倍に拡大してみなければそれほど気にならない程度のノイズ発生に抑えられている印象でした。ISO感度は6400まで上げることが出来ますので、夜間の撮影にも対応してくれるだけのポテンシャルがあります。

上に挙げた以外のポイントとしては、ファインダー非搭載機となって気になるオートフォーカス速度。コンパクトデジカメと同じくコントラスト検出式のみとなりますが、及第点が与えられる速度と思います。元々ペンタックスが不得意としていた点ですから、強い期待は求められない程度ですが。

小さいボディながら、グリップ感はそれほど悪くありませんでした。成人男性にはちょっとこじんまりとし過ぎなフィーリングでしたが、デザインのバランスも含め、落とし所として無難に収まっている感じでした。中指を90度に折って添えるのがいいと思います。
ボディのみならずレンズも非常にコンパクトであるため、一眼レフカメラとして求められるひとつのポイントである、リングによるズームやピント調整はちょっとやりづらさを感じました。しかしこれはサイズとのトレードオフの部分で仕方ありませんし、慣れればそれほど問題ないのかもしれません。

ボタンはボディサイズに伴いかなり小さく、やはり成人男性にはやや確実に押し込むのが苦労しそうなぐらいでした。と同時に、おもちゃっぽさも感じてしまったため、このカメラを使って本格的な撮影をしてみるぞと思える感覚にはなりそうになかったのですが、やはりこれもトレードオフで、他に代えられないコンパクトサイズを獲得したことによる収納性能の飛躍的上昇をメリットとしたならやむを得ませんね。逆に、いつでも持ち歩いて気軽にスナップできるお遊び、お散歩レンズとしての魅力は飛躍的に上がっています。

その他、レンズ交換式カメラとして気になるホコリ対策については、Kシリーズで実績のある超音波振動によるセンサクリーニング方式が採用されていて安心感があります。ペンタックスの売りであるイメージセンサシフト方式の手ぶれ補正も搭載と、Kシリーズに引けを取らない仕様を継承しています。

RAWはAdobe社推奨のDNGフォーマットを採用し、ちょっと古いバージョンのフォトレタッチソフト(主にAdobe Photoshop群)でも処理ができそうでいいですね。
最新のSDカード規格であるSDXCにも対応を明記しているため、64GB以上のメモリカードも使用できるようです。

PENTAX Q 3

さて、最後にレンズ交換式カメラとして最も気になるレンズの話を掘り下げてみます。
まずはそのマウントですが、新しく開発された、今までの機種にはない「Qマウント」というものが採用されています。
これは今までにない新しいコンセプトのデジタルカメラであることから仕方のないところですが、マウントが新規格となったことにより既存のレンズ資産を活かすことは出来ません。
そして、今後期待ができるマウントアダプターを介してのオールドレンズ利用については、現在の仕様上「電気接点」が正しくレンズと触れていなければ撮影が行えないとのことなので不可能です。
このイメージセンササイズや、フランジバックの距離などの近似により転用に期待ができる、映画用カメラレンズとして古来からレンズ資産が豊富なCマウント方式の採用が行えず、オールドレンズファンやレンズ資産を転用したいカメラファンの期待には応えられません。
しかしこのあたりはファームウェアやマイナーチェンジによって変更が期待できるため、行っていたアンケートに要望として提出しておきました。電気接点が効かなくてもマニュアルで撮影が行えるようになるのであれば、手動フォーカスと手動絞りが行えるレンズに限定されるものの、レンズ資産を有効活用できる小型のデジカメとして注目されて需要が増え、一層価値が上がると思いますので是非前向きに検討していただきたいものです。

また、Qマウントレンズとして用意されるのは、まず通常のレンズ群として標準画角の単焦点とズームがあり、その他に低価格で特徴的(トイカメラに似た画質よりも画の楽しさを重視)なレンズ群である「ユニークレンズシリーズ」を用意するとのことで、プラスチックの鏡銅やマウント、手動フォーカスでF値固定という割り切った仕様で、撮影の楽しさを手頃な追加コストで実現できる、文字通り面白いレンズ群の提案がされていくようです。
特に魚眼レンズは、コンパクトデジカメでは味わうことが出来ず、既存の一眼カメラでも特殊性が強いものの高価格なためになかなか手が出しづらく体験する機会が持てないものでしたが、このレンズはかなり手頃な値段でリリースできそうなことを言っていたため、魚眼撮影の入門として、それを体験する意味では良い位置づけに出来るのではないかと期待されます。
また、高性能レンズ群としては面白い機能として「NDフィルタ内蔵」があります。これは通常はレンズの前にフィルタを取り付けて、明るすぎる光源下で撮影に適度なレベルに減衰したり、シャッタースピードを遅くして表現として活かす際に用いられるフィルタですが、何とレンズ内に物理的に内蔵しているとのことでした。
このNDフィルタに付いては、メニューから選ぶことで掛けることが出来ます。段数は4EVとのこと。人波や車の照明を印象的に流したり、揺れる水面をさらりと淡い表現にする事が、フィルタを持ち運ばずとも行えるようになり、いざそれを活用したい場面に出会した時にも対応できてしまうという心強い機能です。これは想定外の機能でしたので、かなり心が誘われました。


さて、以上が体験会から感じ取れた内容となります。拾いきれなかった点もまだまだあるでしょうし、勘違いしてしまっている点もあるかもしれませんので、どうぞ参考までによろしくお願いします。

そして、この記事を見ていただいている中には、このブログの基本であるフィギュア等の記事と併せてカメラにも興味をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、締めにフィギュアファンにとって馴染み深く、サイズが統一されている「ねんどろいど」と、体験会でもらった実寸大のミニパンフレットと比較した写真を掲載しておきます。

PENTAX Q ねんどろサイズ比較

はい、とっても広いデコですね。これがアール・デコ形式というものらしいですヨ。


以上、ペンタックス一眼カメラの新機種「PENTAX Q」の体験会レポートと雑感を交えた紹介でした。